経済分析第25号
昭和42年10~12月期を中心としたQE法誤差分析 他

  • <分析1>昭和42年10~12月期を中心としたQE法誤差分析
  • <分析2>短期経済予測パイロットモデルの再推定結果
1968年6月
<分析1>
押坂 晃,小山 茂樹,石橋 恒彦,国吉 健一
<分析2>
宍戸 駿太郎,斉藤 充夫,河野 彰夫,泰泉 寺昇,川名 英子,平塚 邦夫

<分析1> 昭和42年10~12月期を中心としたQE法誤差分析

(序説)

さきに「経済分析」第23号および第24号において、QE法を用いた国民総支出の早期把握の試算結果を発表したが、今回は、昭和42年10月~12月期の試算結果を中心に誤差分析をおこなった。ただし、必要に応じて42年4~6月期および7~9月期の採用式、および分析結果も付記した。

1.QE法の特色

QE法は、国民所得統計速報の公表がかなり遅れるので、その間の暫定資料として早期に公表される統計資料を利用して、四半期別国民総支出とその構成項目の試算をおこなうものである。

すなわち、国民所得統計が詳細な積み上げ方式の作業をおこなうのに対して、QE法は早期に得られるデータから統計回帰式によって国民総支出の項目を推定する点で手法上基本的な相違があり、このため以下の特色をもっている。

第一に、各項目はそれぞれ独立の回帰方程式で推定され、各方程式相互間に連立の関係はない。

第二に、各方程式はそれぞれの総支出項目を推定するために必要な直接的な早期情報だけを説明変数としており、これらのデータと総支出の各項目を結ぶ統計変換式である。したがって、経済主体の行動を説明するような行動方程式は含まれない。

第三に、回帰式による推定であるから、推定結果には当然推定上の確率誤差が含まれる。

2.誤差の生ずる原因

QE法の推定結果は、国民所得統計の実績値の動きをかなりよく追っており、予測の制度も高いが、次章の分析結果にもみられるように、なお若干の誤差の発生は避けられない。誤差の発生原因としては、(1)説明変数自体に起因するものと、(2)統計式上の問題点が考えられる。

  • (1) 説明変数自体に起因するもの
    説明変数自体に起因するものとしては、
    • (ア) 説明変数が、その総支出項目の変動および大きさを推定するデータとしてふさわしくない場合(代表性の有無)
    • (イ) 説明変数が、その総支出項目を説明するとしても、その説明力が総支出項目の一部についてにすぎない場合(カバレッジの不足)
    • (ウ) 説明変数の系列の中に、特殊な要因に基づく一時的変動が含まれている場合(一時的変動要因)
    • (エ) 説明変数の大部分のものは単一データではなく、いくつかの早期データを合理的と考えられる方法で加工しているが、その加工方法上に問題がある場合(データ加工の妥当性)
    • (オ) 説明変数の一部には、データ入手が1か月以上遅れるものがあり、最終月だけすう勢延長をおこなっているものがある(説明変数の推定による誤差)。
  • (2) 統計上の問題点
    統計上の問題点としては、
    • (ア) 各回帰式は、主として昭和35年度以降のサンプルを使用しており、推定期間を比較的短くすることにより構造変化に伴って発生するパラメーター変動による誤差を小さくしているが、なお構造変化による誤差を完全に除去できない
    • (イ) QE法の採用式は統計回帰式であるが、統計回帰式には一般に係数の推定誤差を含み、この回帰式を利用して得られる予測値も誤差を伴う。これは、各係数の標準誤差などから判定できる(係数の推定誤差)。
    • (ウ) 回帰式の一部は、その残差に系列相関を伴う場合がある。この場合、QE法では一般化最小自乗法を適用して系列相関を取り除く作業をおこなっている(残差の系列相関による誤差)。
    • (エ) 一般化最小自乗法を適用したものについては、先決変数にbiasがある場合、予測値にもその影響が残る(先決変数による誤差)。

以上の観点から、QE法の各採用式について〔II〕章の分析検討をおこなう。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 810 KB)
  2. 1ページ
    〔I〕 序説
    1. 1ページ
      1.QE法の特色
    2. 1ページ
      2.誤差の生ずる原因
      1. 1ページ
        (1) 説明変数自体に起因するもの
      2. 1ページ
        (2) 統計式上の問題点
  3. 2ページ
    〔II〕 昭和42年10~12月期を中心とした誤差分析
    1. 2ページ
      1.本分析の概要
    2. 4ページ
      2.分析結果の解説(支出項目別)
  4. 11ページ
    〔III〕 むすび
    1. 15ページ
      (付) 分析結果の数表およびグラフ
      1. 第1表
        1. 昭和42年4~6月期、7~9月期、10~12月期
        2. 15ページ
          QE法採用式一覧表
        3. 21ページ
          (昭和42年10~12月期のQEに使用した推定式のグラフ
      2. 40ページ
        第2表 平方平均誤差
      3. 42ページ
        第3表 不等度
      4. 44ページ
        第4表 推定値と実績値のかい離率
      5. 46ページ
        第5表 残差と系列相関の検討
      6. 50ページ
        第6表 推定値と実績値の伸び率比較
      7. 第7表
        1. 54ページ
          (A) 相等性テスト F-検定表
        2. 56ページ
          (B) 相等性テスト係数一覧表
        3. 66ページ
          (C) 景気局面による構造変化
      8. 68ページ
        第8表 内挿期間変更による推定式への影響
  5. 74ページ
    〔IV〕 QE法で使用したデータ集

<分析2> 短期経済予測パイロットモデルの再推定結果

(まえがき)

当経済研究所では、本誌第21号に発表した「短期経済予測パイロットモデル」を使用して日本経済に関する各種のシミュレーション分析をおこなっている。

本誌第21号で紹介したとおり、本パイロットモデルは方程式数53本の連立方程式体系からなっており、方程式の推定方法には原則として制限情報最尤法が使われている。

今回、国民所得統計昭和41年度確報が発表されとことに伴って、従来の観測期間29年度第1四半期から40年度第4四半期にかえて、観測期間を昭和29年度第1四半期から41年度第4四半期とし、パラメーターの再推定を行なった。

以下の表は、本誌第21号における旧パラメーターと今回再推定の新パラメーターを比較したものである。

各変数については末尾の記号一覧表を参照されたい。(「SP.7」は今回推定)

また、参考のために主要関数の部分テストの結果を掲載しておいた。実線が実績値、点線が推定値である。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 282 KB)
  2. 135ページ
    1.まえがき
  3. 136ページ
    2.パイロット・モデル新旧パラメーター比較表
  4. 147ページ
    3.部分テストの結果
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