経済分析第27号
最近の産業別生産性の動向 他

  • <分析1>最近の産業別生産性の動向-国際比較によるパターンの分析-
  • <分析2>購買力平価の国際比較:試論-I
1969年3月
<分析1>
降矢 憲一,中村 厚史,鈴木 孝雄
<分析2>
野田 孜

<分析1> 最近の産業別生産性の動向-国際比較によるパターンの分析-

(研究課題と分析方法)

最近のわが国の物価上昇を説明する有力な説に生産性格差インフレ論がある。物価上昇の要因解明に適切であるか否かは別として、実態的説明としてはかなり説得力をもっているといえる。しかし、こうした物価上昇の性格がわが国に特有なものであるかないかについて検討することの意味はこれとははなれても存在しえよう。

わが国の生産性の変動を産業別にグローバルには把握できる有力な資料をえて、上記問題に関する判断素材を提供することは有益であろうと思われるので、国際比較による生産性変動のパターンの分析を試み賃金、物価についても若干ふれた。基礎資料の推計は当研究所野田ユニット、国民所得部および総合計画局計量班などとの共同作業によるものである。国際比較統計については既存のものを可能な限り活用した。


全文の構成

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  2. 1ページ
    はしがき
  3. 1ページ
    I.生産性の概念
  4. 2ページ
    II.産業別労働生産性の動向
  5. 3ページ
    III.労働生産性の関連指標の動向
  6. 5ページ
    IV.生産性水準の産業間比較
  7. 7ページ
    V.景気局面における生産性の変動
  8. 7ページ
    VI.産業構造変化と生産性の変動
  9. 8ページ
    VII.生産性変動の要因
  10. 20ページ
    VIII.国際比較による生産性変動のパターン
  11. 25ページ
    IX.生産性と賃金・物価の関連
  12. 28ページ
    X.景気局面での生産性変動
  13. 29ページ
    むすび
  14. 29ページ
    参考文献
  15. 29ページ
    付属資料
  16. 29ページ
    付属参考統計図表

<分析2> 購買力平価の国際比較:試論-I

(はしがき)

国民総生産や総支出の構成要素、または所得水準や消費水準の国際比較を行なおうとする場合に、まずわれわれが直面する問題は、諸国によって異なる貨幣単位を共通の価値尺度に変換することである。通常用いられる最も簡単な方法は、公定為替レートを使うことであり、最近年における日本の国民総生産が自由諸国内で2ないし3位といわれる結果がこれである。

しかしながら、現在の為替レートが必ずしも国内の物価水準ないしは貨幣の購買力を反映していないらしいことは、つとにいわれているところである。各国で異なる貨幣単位を共通の価値尺度に変換する場合、単純に公定為替レートを使うことは大きな誤りを冒す可能性か強い。そこでわれわれには、各国が生産し、消費している財貨の価格をそれぞれ比較し、それぞれの財貨の重要度に応じて総合し、全体としての平均的は貨幣の購買力を測定し、これを利用して各国共通の価値尺度に変換する必要はある。すなわち購買力平価の計測がこれである。

購買力平価の測定は、C. クラークその著書『経済進歩の諸条件』で、1925~34年について世界30カ国以上の実質国民所得の比較を行うにあたって推計を試みたが、広範な購買力平価の測定としては古典的なものといえる。その後、M.ギルバートとI.B.クレービスが、1950年、1955年に行った推計が、OEECの協力もあって戦後におけるこの種の研究のさきがけとなり、アメリカと欧州7か国の比較が行われた。

日本を中心とした計測は、これまでに幾つかの研究業績がある。しかし残念なことに、国民総生産(総支出)の比較を本来の目的として計測されたものとしては、日本とアメリカに関して、小売・卸売・輸出入の各物価について、1952年に関する計測を行った渡部・小宮両氏の研究と、1960年に関する小売物価および1950年代後半の卸売物価に関して日米比較を行なった経済企画庁経済研究所の推計があるのみである。他方、消費に関する購買力平価の測定は、その後も集約的に行なわれた。国民生活研究所、経済企画庁国民生活局、三菱銀行調査部などにおいて、日本とアメリカだけではなく欧州諸国も含めた平価の測定、アジア経済研究所で日本と東南アジア諸国の平価測定が行なわれ、この分野での研究蓄積は着々と進んできた。しかし、消費以外に関しては絶対的に研究が遅れており、近時においては未開拓の分野であったといってよい。

以上のような背景のもとに、われわれは日本を中心とした欧米諸国との実質国民総支出(生産)の比較を主目的として、国民総支出の項目別に購買力平価を計測する作業を出発させたのである。作業計画は、昭和43,44両年にわたって2年計画で行なわれる。本稿では、われわれの作業のアウトライン、特に方法論についての試論を述べてみたい。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 354 KB)
  2. 77ページ
    I.はしがき
  3. 77ページ
    II.研究の対象と範囲
  4. 80ページ
    III.各支出項目の比較方法論
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