経済分析第29号
社会保険関数の試作(中間報告) 他

1970年2月
<分析>
市川 洋,平井 弘
<資料>
市川 洋,沢田 五十六

<分析> 社会保険関数の試作(中間報告)

(概説)

1-1.目的

従来のマクロ計量経済分析においては、投資や雇用者所得等については、はなばなしい理論が展開されてきたが、所得の移転関係については保険制度の複雑な規定が関係するために、実態は内生変数であるにもかかわらず外生変数として取り扱われてきた。

一方、保険プロパーのサイドにおいては、保険理論が精密に展開されているが、これは保険制度自体のための理論であって、保険以外の他の経済センターとの関係はあまり論議の対象とされていない。

本研究は、国民所得上政府と個人間の所得の移転とされるもののうち、その大部分を占める保険制度について、なるべくマクロモデルベースに近づいた分析ができるよう保険制度を定式化したものである。したがって、国民所得ベースの政府と個人間の所得の移転とされるもののうち、保険制度以外のもの、すなわち、たとえば軍事恩給、生活保護、公的扶助(身体障害者等)等はまだ制度の定式化が行なわれていない。

このため、このままではマクロ計量経済モデルとは直接には接続できない。本研究の次の段階においては、国民所得ベースでマクロ計量経済モデルにつながる移転関係項目の内生化を行なうことが近く予定されている。しかしながら、最も重要な「所得の移転」と「国民福祉」との関係については、今後の国民福祉の指標による福祉の数量化の研究やPPBSの手法による費用対効果分析等のなおいっそうの研究にまたなければならないであろう。本研究はこれらの問題に取り組むための準備の一段階である。

本研究に着手するきっかけとなった当初の目的は保険プロパーの問題の解明にあったが、次の段階では国民所得ベース移転関係項目内生化をねらうとともに、最適に政策目標を達成するための制御を政府が実際にコントロール可能な制度について解くことを将来の構想とするものである。

したがって、政府によるコントロールが可能な制度のパラメータ(保険料率、給付基準等)は陽表的に関数に織り込まれる。この意味で、本研究は財政における歳入歳出等の制度のうち、政府による制御可能なものを明らかにした財政モデル研究の一環となっている。制度にからむ問題は、最も直接かつ重要なコントロールにもかかわらず、その複雑さと基礎データが経済分析に向いていないことなどのために長らくマクロ計量経済分析においてあまり取り扱われていなかったが、今や一歩一歩解決しつつある。本研究ではこれらの問題解決のための中間報告である。第2章および第3章で保険料関数および保険給付関数にスペシフェケーションの根拠を示し、第4章に関数そのものを示す。第5章で保険制度における事務処理のしくみを説明し、第6章に保険制度の概略の解説を行なうこととした。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 913 KB)
  2. 1ページ
    第1章 概説
  3. 5ページ
    第2章 保険料関数
  4. 7ページ
    第3章 保険給付関数
  5. 10ページ
    第4章 社会保険関数とデータ
  6. 46ページ
    第5章 事務の流れ
  7. 51ページ
    第6章 制度と用語の説明

<資料> 租税関係統計資料

(改訂追補)

当研究所「財政制度モデルの研究(研究シリーズ第19号)」および「租税関数論(経済分析第32号)」において、租税関係の分析研究に必要な基礎資料を掲載したが、その後において公表された資料および昭和45年度租税制改正の要綱をしようして追加・訂正をおこなったものを改めて掲載する。

歳出関係資料についても、追加・訂正を行うことが予定されている。計数の作成方法、内容等については、「財政制度モデルの研究」および「租税関数論」を参照されたい。

  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)