経済分析第36号
環境政策の原理について 他

  • <分析1>環境政策の原理について -OECD環境委員会と日本の環境政策-
  • <分析2>米の需給モデル
1972年2月
<分析1>
小金 芳弘
<分析2>
小金 芳弘,川名 英子,平墳 邦夫,吉川 隆芳,泰泉寺 昇,渡辺 宏

<分析1> 環境政策の原理について -OECD環境委員会と日本の環境政策-

(まえがき)

OECD環境委員会は、1971年6月経済専門家による小委員会を発足させ、環境政策における国際的側面についての検討を開始した。この小委員会で合意に達したことがらは、環境委員会で各国代表によって検討され、ついでOECDの閣僚理事会に上げられて何らかの形をとった国際的合意となり、各国の環境政策に対して影響力を持つに至るであろう。OECDという機関の性格上、これは国際条約のように厳格に各国の行為を規制するものではない。

しかし、先進諸国の仲間入りを果たした日本だがいつまでも独自の考え方にもとづく独特のやり方を続けられるものでないことは、通貨問題貿易問題その他においてすでに明らかであり、また世界各国から動員された専門家が討議を重ねた末に得られた結論は、日本の環境政策の中に取入れて間違いのないものを数多く含むようになるだろうと思われる。
 小委員会で検討されている、ないしされることになっている事項は、大きく分けて次の三つである。

  • (1)公害対策費用負担(Allocation of Environmental Pollution Control Cost)の原則
  • (2)環境政策と国際貿易
  • (3)国際公害(Transnational Pollution)

この内第3の問題は、スカンジナビア諸国の大気汚染、ライン河や北海の汚染等のように、国境を越えて拡散する場合の問題であって、日本にとってはまだ直接関係のあるものではなく、またこれまで実質的な議論はなされていない。第2の問題は、製品規格、排出基準等の国際的不統一に関して国際貿易上の歪みが起こるのをどのように調整するかという観点から、環境委員会発足当初は重視された(その好例は自動車の安全基準である。)しかし実際にはこれは、個別の商品や生産技術についての問題であることが多く、一般的包括な議論の対象になりにくい。またそのような個別問題についての具体的な議論は、国際貿易の影響という観点からは、また進められていない。着実に前進しているのは、第一の費用負担の原則に関する議論であり、これは各国の環境政策の基本理念ひいては経済社会張展政策の基本的な考え方や政策手段のあり方と重大な関連を持つとともに、前述した国際貿易問題にも関連する。更にまたこれは、日本にとっても、環境政策や産業政策の将来の方向を考える場合に見逃すとことのできない重大な要素を多量に含んでいる。そこで以下においては、この費用負担の原則を中心として環境政策の基本原理を考察して見ることとしたい。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 106 KB)
  2. 1ページ
    まえがき
  3. 1ページ
    1.汚染者負担の原則
    1. 1ページ
      (1) 環境コストの内部化
    2. 2ページ
      (2) 国際貿易と汚染者負担原則
  4. 4ページ
    2.汚染者負担原則の例外
    1. 4ページ
      (1) その原因
    2. 5ページ
      (2) その態様
  5. 6ページ
    3.環境政策の目的と汚染者負担原則
    1. 6ページ
      (1) 環境問題の動態
    2. 7ページ
      (2) 社会的費用と私的費用
  6. 8ページ
    4.汚染者負担原則適用のための手段-規制か賦課金か-
  7. 10ページ
    5.欧米型政策と日本型政策

<分析2> 米の需給モデル

(まえがき)

米価の変動と米の需給変動の間の関係は、経済学的に興味のあるテーマである。第一に、生産者米価と消費者米価が市場での需給と関係なく決定されるシステムになっているので、われわれは生産函数と需給函数を倫理通りにspecifyし、これを過去の実績から回帰してパラメーターを求めることができる。(市場で取引き価格と取引き数量が同時決定される商品については、供給函数と需給函数の交点の軌跡が時系列データとして与えられるだけであって、これをもとの二つの函数に還元することはできない。)第二に、商品がほぼ同質的であって、しかも毎年の供給量、需要量、在庫変動がほぼ完全に近い形で記録されている。統制物資でなければこうはいかない。(もちろんやみの部分はあるけども)

本研究の狙いは、生産者米価と消費者米価をそれぞれの外生変数として含む、米の生産函数と需要函数を過去14年間の時系列データから推定し、政府在庫が昭和30年度の370万トンから39年度の320万トンを経て44年度には1,200万トンにまで達したメカニズムを、これによって説明しようとすることにある。更にまた将来の生産者米価政策および消費者米価政策にいかんによって米の需給がどう変動し、その在庫がどうなっていくだろうかについての予測を行ない、政策決定者に対して一つの情報を提供しようとすることも、もう一つの狙いである。
 (本研究は実質的には昭和46年初頭に行なわれたため、モデルは30~43年度について推定されており、44,45年度の実績値を考慮に入れて修正するということはされていない。)


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 367 KB)
  2. 13ページ
    まえがき
  3. 13ページ
    1.モデルのシステム
  4. 16ページ
    2.主要変数の実績値
  5. 17ページ
    3.内挿テスト
  6. 24ページ
    4.シミュレーション分析(内挿)
    1. 24ページ
      (1) 自由市場の仮説
    2. 25ページ
      (2) 消費者米価の生産者米価への連動
    3. 28ページ
      (3) 自由消費者米価
  7. 32ページ
    5.長期予測(外挿)
    1. 34ページ
      (1) 制度変更のない場合
    2. 39ページ
      (2) 制度変更の場合
  8. 41ページ
    附録I 方程式体系
  9. 46ページ
    附録II 外挿シミュレーション結果
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)