経済分析第38号
産業別労働需要の分析
-女子化に関連して-

1972年3月
<経済研究所雇用・賃金ユニット>
鶴岡 勇,古賀 誠,平田 浩稔

(はじめに)

高成長を続けた日本経済は、労働力面にいろいろな変化をもたらしたが、その顕著なものは、産業別就業構造の変化および各産業における女子就業者の比重の一貫した増大である。(表1)

表1 産業別性別就業構造の推移 (%)
項目25年35年45年
産業別就業者 計100.0100.0100.0
第1次産業48.332.519.3
第2次〃22.029.233.9
第3次〃29.638.246.7
女子比率 計38.639.139.1
第1次産業49.051.953.0
第2次〃23.426.329.7
第3次〃33.138.240.3

資料出所 総理府統計局「国勢調査」

女子化の理由は、産業により時期によりまちまちであろう。しかし近年は第2次産業を中心に、労働力不足現象がひろがる中での新労働力給源として女子の活用というかたちで事態が進行していると思われる。いいかえれば近年の女子化の傾向は、1)経済成長による全般的労働需要増加の中で、元来女子向きである職場が拡大したばかりでなく、2)資本設備における技術革新にともない、これまで女子向きでなかった職場にも、女子が就業が可能になるといった一種のjob redesingが進んだ結果とみることができよう。

ちなみに労働省「女子労働者の就業状況の変化に関する調査」(44年6月)によると、最近3年間に男子の仕事を女子にきりかえた工場は、規模30人以上調査対象の22%、またそれを今後実施する予定のある工場は26%に達している。この女子化を実施した工場は産業別には出版印刷、家具、窯業土石、金属製品、機会、電気機器、輸送用機器、精密機械で比較的多い。

本稿は、このような事態の進行を、数量的フレームワークにもとづいて確認するとともに、現実的意味づけを行なうことを目的とする。なお、本研究の数量的フレームワークについては小尾恵一郎慶應義塾大学教授の指導による。記して感謝の意を表したい。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 412 KB)
  2. 1ページ
    1.はじめに
  3. 1ページ
    2.モデルの構想
    1. 1ページ
      2-1 生産関数の二つのタイプ
    2. 2ページ
      2-2 生産関数の特定化と有効領域
      1. 2ページ
        2-2-1 第1のタイプの生産関数
      2. 3ページ
        2-2-2 第2のタイプの生産関数
    3. 4ページ
      2-3 均衡方程式
    4. 4ページ
      2-4 各種タイプの労働需要モデル
      1. 4ページ
        2-4-1 I-1タイプモデル
      2. 4ページ
        2-4-2 I-2タイプモデル
      3. 5ページ
        2-4-3 II-1タイプモデル
      4. 5ページ
        2-4-4 II-2タイプモデル
      5. 5ページ
        2-4-5 II-3タイプモデル
  4. 7ページ
    3.推計と検定
    1. 7ページ
      3-1 対象産業と推計期間
    2. 7ページ
      3-2 モデルの推計結果
    3. 8ページ
      3-3 I-2タイプモデルの推計と検定
      1. 8ページ
        3-3-1 推計手続と検定基準
      2. 8ページ
        3-3-2 推計と検定の結果
      3. 12ページ
        3-3-3 再推定と検定の結果
  5. 18ページ
    4.推定値の精度の向上(パラメタリファイン)
    1. 18ページ
      4-1 推定値の精度の向上(パラメタリファイン)の方法
    2. 18ページ
      4-2 推定値の精度の向上(パラメタリファイン)の結果
  6. 18ページ
    5.パラメーターの分析
    1. 18ページ
      5-1 労働需要モデルにおける男女労働需要と資本需要
      1. 18ページ
        5-1-1 男女間における労働需要増加の限界性向と弾性
      2. 20ページ
        5-1-2 男女代替に伴う資本需要の増加及び資本弾性の比
    2. 20ページ
      5-2 労働投入関数における生産額(Q)一定の下での男女労働力の代替関係
      1. 20ページ
        5-2-1 男女労働力の代替率(η)と生産弾性の比(αmf
      2. 22ページ
        5-2-2 代替率(η)の時系列比較
    3. 23ページ
      5-3 資本投入関数からの産業特性比較
      1. 24ページ
        5-3-1 女子比率と資本の代替関係
      2. 5-3-2 資本ストックにおける(K)における生産額(Q)
      3. 27ページ
        および女子比率(Lf/Lm)の寄与度
    4. 28ページ
      5-4 男女労働力の代替の伴う労働需要増加と資本需要増加の相互関連
      1. 28ページ
        5-4-1 男女代替に伴う資本需要の増加額と増加率
      2. 29ページ
        5-4-2 代替に伴う労働需要と資本需要の相互比較
      3. 34ページ
        5-4-3 製造業における女子化の傾向と産業の特徴
  7. 36ページ
    6.シミュレーション分析
    1. 36ページ
      6-1 外挿のケース設定
    2. 40ページ
      6-2 外挿結果のチェック
    3. 41ページ
      6-3 資金率変動が労働需要および資本需要に及ぼす影響
    4. 42ページ
      6-4 総生産額(Q)の変動が労働需要及び資本需要に及ぼす影響
    5. 43ページ
      6-5 女子化のテンポ
  8. 46ページ
    7.統計資料・資料出所・加工法
    1. 46ページ
      7-1 統計資料
    2. 55ページ
      7-2 資料出所・加工法
  9. <附図>別ウィンドウで開きます。(PDF形式 638 KB)
    1. 57ページ
      附図1.使用データのグラフ
    2. 76ページ
      附図2.パラメタリファインのグラフ
    1. 103ページ
      1.はじめに
    2. 105ページ
      2.I-1タイプモデルの推計と検定
    3. 106ページ
      3.II-1タイプモデルの推計と検定
    4. 109ページ
      4.II-2タイプモデルの推計と検定
    5. 112ページ
      5.II-3タイプモデルの推計と検定
  10. <補論2> 鉱業のモデル
    1. 117ページ
      1.鉱業の生産関数
    2. 117ページ
      2.推計手続きと検定基準
    3. 118ページ
      3.推計と検定の結果
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)