経済分析第49号
コミュニティに関する実証分析
-藤沢市の例-

1974年8月
<経済研究所システム分析調査室>
公文 俊平,上床 一義,藤岡 長明,塚本 幸弘

(はじめに)

現在、日本の都市には、人口の集中、公害、開発による自然環境の悪化、生活関連基盤施設の不整備、都市計画に関する諸問題、日照権問題、等の新しい問題が発生している。また、あるいは住民紛争、日常生活の空虚感の増大、交通事故、犯罪等、多くの問題が横たわっている。そこで、それらの解決策を見出すために種々努力、検討がなされているが、これらの問題に対して確たる解決処理案がいまだないのが現状である。

もともと日本の地域社会においては、諸問題の解決処理機能として、農村共同体に代表される連帯的地域社会が、よきにつけ、悪しきにつけ働いていた。ところが、昭和30年代以降から産業化をベースに、都市化が進み、人口と産業の無秩序な集中により上記のような種々の諸問題が、特に都市において発生してきた。これら諸問題の中には、個人や行政体では解決しかねるようなものが多数あり、そのため、地域社会にその解決を期待する考えが強くなった。ところが、従来の農村共同体的地域社会は、都市化とともに崩壊しつつあり、また従来のタイプの地域社会にこれらの問題の解決をゆだねることができるかどうかも疑わしい。

そこで、新しい方途として、"コミュニティ"の考え方が提唱されるようになった。これは、もちろん、従来のような共同体でなく、もっと現代社会の諸問題解決に場となりうるような共同地域社会の形成を目ざしている。もっとも、今日までのところコミュニティ概念のより詳細な内容規定をめぐっては定説というものはなく、さまざまな方向からさまざまなコミュニティ概念が提案されているのが現状である。われわれは「"コミュニティ"が、地域の諸問題の解決の場となりうるであろうか」という問題意識のもとに、藤沢市を例として、実証的に、コミュニティの意義に関するシステム分析を試みた。この分析には、不備な点が多々あろうと思われるが、今後のための一つの試験的な事例研究と考えていただければ幸いである。


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 563 KB)
  2. 1ページ
    はじめに
  3. 1ページ
    第1章 分析の概要
    1. 1ページ
      第1節 分析の目的
    2. 2ページ
      第2節 分析の順序
  4. 3ページ
    第2章 コミュニティの概念
    1. 4ページ
      第1節 コミュニティ概念の系譜とその位置づけ
    2. 5ページ
      第2節 コミュニティの要件
  5. 7ページ
    第3章 コミュニティの意義に関する実証分析(藤沢市の例)
    1. 7ページ
      第1節 地域の設定
    2. 7ページ
      第2節 地域構成要素の特性
    3. 20ページ
      第3節 地域の団体活動
    4. 26ページ
    5. 38ページ
      第5節 地域の総合特性
    6. 49ページ
      第6節 コミュニティ指標の設定
    7. 50ページ
      第7節 地域のコミュニティ評価
    8. 55ページ
      第8節 地域のコミュニティ評価と諸問題
  6. 58ページ
    あとがき
  7. 60ページ
    附表別ウィンドウで開きます。(PDF形式 457 KB)
  8. 94ページ
    参考文献
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    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)