経済分析第55号
週休2日制の影響分析(注)

1975年6月
<システム分析調査室>
中村 英夫,武藤 昭光,伏見 一彰,尾崎 博,星野 宏之,巾村 和敏

(分析の手順)

週休2日制は最近我国の各企業にも、かなりの浸透をみせているが、まだまだ一般化されたとはいいがたい。ましてやその形態からみれば完全な週休2日制導入企業の比率は低位にあるといわざるをえないであろう。しかし最近の急速な進展を考えると、近い将来欧米先進国並に一般化することは充分予想される。
 週休2日制が社会に普及していく過程で産業活動や国民生活に広汎な影響を及ぼすことは容易に想像されうる。そこで本分析研究では週休2日制が近い将来完全な形で普及した場合、どういった形で、どういった分野に、またどの程度影響を与えるかを考察し、その影響によって生じてくる問題に焦点を当てて進めてくものである。
 以上のような観点に立って我々の分野ではその影響の及ぶ範囲として次の三つの分野を考えることとする。

まず、第一に産業活動の分野である。
 大規模・中規模企業への影響と中小企業のそれを別々に考え、特に産業別分析を中心に進めていことにする。
 最初に現在の週休2日制導入率及びその形態から現状分析を試み、次に産業活動のうち雇用、労働条件(労働時間・賃金)、生産性と価格の問題をとりあげてその影響を考察する。

第二は、国民の余暇活動の分野である。
 ここでは、現状の余暇活動傾向の分野に始まり、完全週休二日制が実施されかつ所得が今の2倍になった時現在の余暇活動は量的、質的にどのように変化するであろうかについての考察を試みる。

第三は、このような余暇の増大に伴って、必然的に生じてくる公共施設への影響として特に重要な余暇施設及び交通施設に焦点を当て、その利用に及ぼす影響を考える。ここでは、現状の休日享受者数の休日パターンにより、将来完全週休二日制が導入された時の曜日別休日享受者数の推定を行い、次にこの増大した休日享受者数が各施設を如何に混雑させるかを明らかにする。そして最後に、この混雑緩和及び資源の有効利用の観点から週休2日制の導入パターンを変えた場合の影響に検討を加える。
 産業活動、公共施設、余暇活動の三つの分野へのアプローチを図示したものが前図である。


(注)尚本研究に当って多大の御協力・御援助をいただいた東京工大の大学院生池田均氏及び種々の資料を提供して下さった関係諸団体の方々に感謝の意を表したい。


図1-1 週休2日制影響分析の進め方
図1-1 週休2日制影響分析の進め方


全文の構成

  1. 全文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 231 KB)
  2. 1ページ
    第1章 分析の手順
  3. 2ページ
    1. 3ページ
      第1節 週休2日制要請の背景と労働時間短縮の現状
      1. 3ページ
        (1) 週休2日制要請の背景
      2. 4ページ
        (2) 労働時間の短縮の現状
    2. 7ページ
      第2節 産業別休日のパターンの現状
      1. 8ページ
        (1) 休日形態からみた産業分類
      2. 9ページ
        (2) 産業別にみた週休2日制の現況
      3. 12ページ
        (3) 規模別にみた週休2日制の現況
      4. 12ページ
        (4) 産業別週休2日制の現状と産業特性の比較
    3. 15ページ
      第3節 週休形態の要因分析
      1. 15ページ
        (1) 調査分析の概要
      2. 16ページ
        (2) 数量化理論による週休形態の分析
    4. 21ページ
      1. 21ページ
        (1) 雇用に及ぼす影響
      2. 23ページ
        (2) 労働条件に及ぼす影響
      3. 26ページ
        (3) 生産性と価格の及ぼす影響
    5. 35ページ
      第5節 週休2日制に小企業への影響
      1. 35ページ
        (1) 我国の小企業の現状
      2. 43ページ
        (2) 小企業の休日制の現況
      3. 44ページ
        (3) 週休2日制導入の及ぼす影響
    6. 48ページ
      第6節 週休2日制の最近の動向と問題点
  4. 49ページ
    1. 49ページ
      第1節 余暇活動の現状
      1. 49ページ
        (1) 余暇活動の背景
      2. 54ページ
        (2) 人々の生活意識と余暇観
      3. 58ページ
        (3) 余暇活動の最近傾向
      4. 61ページ
        (4) 外国における余暇
    2. 68ページ
      1. 68ページ
        (1) 余暇活動の種類と属性
      2. 69ページ
        (2) 現在の活動状況とその傾向
      3. 75ページ
        (3) 週休2日制になった時の希望
      4. 78ページ
        (4) 余暇時間の増加と所得の増加との比較
      5. 80ページ
        (5) 週休1日制の人の余暇活動と週休2日制の人の余暇活動との比較
  5. 83ページ
    1. 83ページ
      第1節 公共施設利用に対する影響分析のアプローチ
    2. 84ページ
      第2節 完全週休2日制の導入による休日享受者数の変化
      1. 84ページ
        (1) 就業人口からみた休日享受者変動
      2. 86ページ
        (2) 総人口でみた休日享受者変動
    3. 88ページ
      第3節 余暇施設利用におよぼす影響
      1. 88ページ
        (1) 余暇施設利用の集中性
      2. 88ページ
        (2) 行動圏別余暇施設の利用特性
      3. 91ページ
        (3) 日常生活圏型施設利用の変化
      4. 93ページ
        (4) 日帰圏型 〃〃
      5. 93ページ
        (5) 宿泊圏型 〃〃
      6. 94ページ
        (6) 学校教育における休日形態からみた施設利用
    4. 95ページ
      第4節 交通施設利用におよぼす影響
      1. 95ページ
        (1) 交通施設利用のパターン
      2. 99ページ
        (2) 通勤交通の変化
      3. 100ページ
        (3) 高速道路交通の変化
    5. 101ページ
      1. 101ページ
        (1) 週休2日制導入形態の検討
      2. 103ページ
        (2) 余暇施設および交通施設利用の変化
  6. 結び
  7. 補論.PPBSから社会システム分析へ
  8. 資料編
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)