経済分析第58号
トレード・フローの計量分析

1975年11月
片野 彦ニ,田中 洋一郎,坂口 俊輔

(はしがき)

本稿は、"国際経済ユニット"が現在行っている1980年における世界貿易構造の予測のための基礎資料(予測のための諸関数のパラメータの推計値)をとりまとめ、それにもとづいてえられた予測のための基礎的な情報を総括して示すことを目的としている。
 予測に当たって用いられる関数は、

  • (1) 各国の商品別輸出関数
  • (2) 各国の商品別・国別輸入関数

の2組のものを考える。ただし、ここでは、

(商品別世界輸出)≡(商品別世界輸入)

という恒等式により制約をいれて、第1の組の関数と第2の関数のパラメーターの同時推計を行うという方法はとっていない。これは、主として、厖大な量のデータとコンピューターのキャパシティーとの関係によるものである。このことから、生じる困難は、予測時点における世界輸出合計と世界輸入合計との斉合性の欠助という形で表われるが、この困難は、RAS法その他の方法を用いて調整するという手段により回避することとする。

本稿においては、上記の2組の関数のそれぞれについてのパラメーターの推計結果を表示する。個々の関数のパラメーターの推計値は、それぞれのアクティビィティーの性格を示すものであり、それ自身においても、利用者の便宜に供しうるものと考える。

さらに、本稿においては、輸出関数および輸入関数のそれぞれについて、商品別の水準において総括的に読みとりうる特性の分析結果を示す。この特性は、それぞれの商品についての(1960年代における)国際取引の特徴を示すものである。これらの結果はまた、1980年代における世界貿易構造の予測にあたっても、有用な情報を提供するものである。例えば、特定の国(地域)の間での取引は比較的安定した状態にあり、別の場合にはそれほど安定した状態にはない、といった情報は、予測値の信頼性を判断する場合の助となりうる。

ただし、本稿に関連するパラメーターの推定は、主として1960年代の実績を基にしている。このことは、1970年代にはいって以降における世界経済の大きな変動は、ここでは考慮していないことを意味している。この点に関しては、1970年代における説明変数の推移にあたって考慮すること、および1970年代になって大きく変化したと考えられるトレード・フローをチェックすることにより、1980年の世界貿易構造を予測する段階において考慮することにしている。


全文の構成

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  2. 1ページ
    I.はしがき
  3. 1ページ
    II.輸出入関数の枠組
    1. 3ページ
      II-1 パラメータ推定にあたっての基本的考え方
  4. 4ページ
    III.輸出関数の推定
    1. 4ページ
      III-1 説明変数の組合せと選択基準
    2. 5ページ
      III-2 商品別推定結果の特徴
  5. 7ページ
    IV.輸入関数の推定
    1. 7ページ
      IV-1 説明変数の組合せと選択基準
    2. 12ページ
      IV-2 商品別推定結果の特徴
  6. 16ページ
    V.パラメーター集約表
    1. 16ページ
      V-1 輸出関数パラメーター集約表
    2. 23ページ
    3. 72ページ
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