経済分析第63号
高齢化社会の諸問題(注)

1976年9月
<システム分析調査室>
中村 英夫,吉岡 昭子,伏見 一彰,巾村 和敏

(研究の目的及び方法)

日本社会は大きく変化してきた。この変化は、経済的側面はもとより、我々の生活様式、思考方法等にまで、きわめて幅広い範囲に、しかも相互に関連しながら深く及んでいる。この変動の中にあって、従来、我々の社会に存在しなかったり、意識されなかったりした事柄が新たに社会問題として派生してきた。我々の研究対象である社会の高齢化及び高齢者問題もその中の一つである。いまこれらが発生してきた過程を、我国の社会変動の大きな要因の一つである経済の発展(高度成長経済)を中心としてみたトータルシステムの一部分としてきわめて単純化して表わしたものが図I-1-1である。このように変動の激しい中で、我々の会社が今後どのような方向に進むかを見極めることは容易ではない。しかし、人口構成が変化し、高齢者が高い比率を占めることは確実に生起している事実である。

このような事実に着目し、本研究では、社会を人口構成の高齢化-社会の高齢化-を軸とする一つのシステムとして考え、この軸の変化が経済・社会に与えるインパクトについて分析し、さらにその中における高齢者の問題を明らかにすることを目的とする。

この目的に従い、以下においては、社会の高齢化がもたらすインパクト及び高齢者自体のもつ問題の中で、今後も大きな影響を与える思われる分野を摘出するとともに、高齢化の具体的指標である人口構成の推移についての分析を行い、第2章においては労働力の問題、年金制度、医療制度、家族関係、高齢者福祉サービス等の高齢化社会における具体的側面についての分析を行い、第3章においては、前章で個別的に分析された具体的側面を社会システムの中で考えるため、高齢化社会をSDモデルによって分析する。


(注) 本研究に当って、東京工大助教授原芳男氏に多く有益な助言を頂いた。また、東京工大大学院生五島哲男氏に多大の協力を頂いた。感謝の意を表したい。


図I-1-1 人口極成の変化及び高齢者問題の発生過程

図I-1-1 人口極成の変化及び高齢者問題の発生過程

全文の構成

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  2. 1ページ
    第1章 概論
    1. 1ページ
      第1節 研究の目的および方法
    2. 2ページ
      第2節 問題の設定
    3. 4ページ
      第3節 人口構成の推移
  3. 9ページ
    第2章 各論
    1. 9ページ
      第1節 労働力の問題
      1. 9ページ
        1 労働力人口の現状
        1. 9ページ
          (1) 労働力率の低下
        2. 11ページ
          (2) 若年労働力の減少
      2. 11ページ
        2 高齢化社会における労働力
        1. 11ページ
          (1) 労働力市場の今後の方向
        2. 14ページ
          (2) 高齢化社会における労働力の特徴
      3. 15ページ
        3 定年制及び高齢者の賃金水準
        1. 15ページ
          (1) 定年制について
        2. 16ページ
          (2) 高齢者の賃金水準
    2. 20ページ
      第2節 医療問題
      1. 20ページ
        1 年齢と健康
      2. 21ページ
        2 病人数の動向
        1. 21ページ
          (1) 病人比率の変動の要因
        2. 24ページ
          (2) 今後の病人比率
      3. 25ページ
        3 医療の諸側面に及ぼす影響
        1. 25ページ
          (1) 疾病内容の変化
        2. 25ページ
          (2) 治療期間の長期化と施設需要の増大
        3. 26ページ
          (3) 医療費の規模増大
        4. 27ページ
          (4) 高齢者の医療費負担の問題
    3. 30ページ
      第3節 年金問題
      1. 30ページ
        1 高齢化社会と年金制度
        1. 30ページ
          (1) 年金の役割
        2. 31ページ
          (2) 年金制度の問題
      2. 33ページ
        2 年金の給付と負担
        1. 33ページ
          (1) 給付率の変更による影響
        2. 33ページ
          (2) 負担方式の問題-賦課方式と積立方式
        3. 35ページ
          (3) 国庫負担率の変更による影響
        4. 35ページ
          (4) 受給開始年齢変更による影響
    4. 36ページ
      第4節 家族の問題
      1. 36ページ
        1 家族の現状
      2. 37ページ
        2 高齢化社会の世帯構成
        1. 37ページ
          (1) 核家族化の進行
        2. 39ページ
          (2) 世帯構成変化のもたらす影響
    5. 40ページ
      第5節 高齢者福祉問題
      1. 40ページ
        1 高齢者福祉サービスの現状
      2. 43ページ
        2 高齢者福祉サービスの問題点
      3. 43ページ
        3 社会の高齢化と高齢者福祉サービス
  4. 45ページ
    1. 45ページ
      第1節 高齢化社会モデルの概略
      1. 45ページ
        1 モデルの性格
      2. 47ページ
        2 モデルの基本構造
      3. 48ページ
        3 モデルの構造
        1. 49ページ
          (1) 人口セクター
        2. 50ページ
          (2) 労働セクター
        3. 54ページ
          (3) 年金セクター
        4. 57ページ
          (4) 余暇セクター
        5. 61ページ
          (5) 家族セクター
        6. 64ページ
          (6) 要保護老人セクター
        7. 67ページ
          (7) 医療セクター
        8. 70ページ
          (8) 老人所得セクター
        9. 74ページ
          (9) 若年所得セクター
        10. 76ページ
          (10) 財政セクター
    2. 80ページ
      1. 80ページ
        1 モデルに与えた外的条件
      2. 81ページ
        2 シミュレーションケースの概要
      3. 83ページ
        3 標準ケースで見た高齢化社会の姿
      4. 87ページ
        4 政策シミュレーションの結果
  5. 98ページ
    むすび
    1. 99ページ
      参考文献
    2. 102ページ
      資料(1) 「高齢化社会モデル」主要変数一覧表
    3. 104ページ
      資料(2) 「高齢化社会モデル」主要変数のシミュレーション結果一覧表
  • 〒100-8914
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