経済分析第99号
資本移動・金利裁定および為替市場の効率性

1985年8月
  • 武藤 恭彦

(はしがき)

 本稿の目的は国際短期資本移動のいくつかの側面を、主としてわが国のデータを用いて軽量的に分析することである。

 短期資本移動に限らず、国際資本移動は最近急速に拡大し、金融市場や資本市場の国際化の進展とも相まって多くの関心を集めている。

 変動相場制下の資本移動についての分析視角には多くのものが考えられるが、本稿で主として扱いたいのは次のような課題である。

 第一に、資本移動を計量的に分析する際、いわゆる「資本移動関数」としてどのような定式化を採用すべきかという点である。多くの大型計量モデルとは異なり本稿では誘導型パラメタの推定結果から構造パラメタの性質について推測するという方針をとるので、その前提となる構造モデルについては明確なモデルを設定しておく必要がある。第1章は主としてこの目的のために割かれている。

 第2に、短資移動の決定要因として考えられるいくつかの要因のうち、相対的に重要なものは何かという点がある。この点で特に重要なのは金融政策と資本移動との関係である。この点については、金融政策が変動制下では極めて有効になりうるという有名なMundell(1963)の主張があるが、その主張の前提は金融政策の発動の結果として速やかに、かつ大量の資本移動が発生するというものである。そのようなことが果たして現実に起こっているのかどうかは実証的な問題であり、本稿の第2章はこれを取扱おうとするものである。

 資本移動と密接な関連をもって論じられるもう一つの主題は外国為替レートの水準の決定である。本稿で取りあげる第3の点はこれに関係している。資本移動は個々の経済主体の資産の選択(ないし借入先の選択)の結果発生するが、そのような立場から見ると為替レートに関する予想もまた資本選択に、ひいては為替レートの水準の決定に多くの影響を持つ。本稿の第3章では、外国為替投機が為替レートの水準の行動に対して与える影響の計量的分析を行うことによって、為替レートと為替レート予想(及び、それに基づいて行われる外国為替投機)との関係を明らかにしようと試みている。


全文の構成

  1. 1ページ
    はしがき別ウィンドウで開きます。(PDF形式 366 KB)
  2. 2ページ
    第1章 内外金利差と短資移動
    1. 9ページ
  3. 13ページ
    1. 17ページ
      資本移動関数別ウィンドウで開きます。(PDF形式 455 KB)
  4. 23ページ
    1. 30ページ
  5. 34ページ
    参考文献
  6. 36ページ
    付論別ウィンドウで開きます。(PDF形式 229 KB)
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