経済分析第172号
経済分析第172号(ジャーナル版)

平成16年3月
累進所得税と厚生変化-公的資金の社会的限界費用の試算-
林 正義(明治学院大学経済学部助教授)
別所 俊一郎(財務省財務総合政策研究所研究官)
金融政策の波及チャネルとしての為替レート
寺井 晃(東京大学大学院経済学研究科博士課程)
飯田 泰之(駒澤大学経済学部専任講師)
浜田 宏一(イェール大学教授)
どうすればデフレ期待を反転できるか?-国民生活モニター調査(個票)による検証-
清水谷 諭(経済社会総合研究所経済研修所研修企画官)
堀 雅博(前経済社会総合研究所主任研究官)
日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか
榊原 清則(慶応義塾大学総合政策学部教授)
辻本 将晴(慶応義塾大学大学院博士課程)
短期日本経済マクロ計量モデル(2003年版)の構造と乗数分析
堀 雅博(前経済社会総合研究所主任研究官)
青木大樹(経済社会総合研究所研究官)

(要旨)

累進所得税と厚生変化-公的資金の社会的限界費用の試算-

本稿では、異なった所得獲得能力をもつ消費者から構成される異質経済を対象として、累進所得税を明示的に考慮した公的資金の社会的限界費用(SMCF)を試算した。すなわち、(1)累進度を維持するような3種類の税率変更によるSMCFの推計、(2)ブラケット別に税率を操作することから生じるSMCFを算定と望ましい累進度変化に関する分析、(3)現行の所得税率の組合せを最適な税率とする分配ウエイトの「逆算」、を行った。

金融政策の波及チャネルとしての為替レート

本稿では、マネタリーアプローチを中心にインフレ期待やベースマネーが為替レートに与える影響を時系列推計により考察した。その結果、ベースマネー、期待インフレ率などが為替レートに大きな影響を与えることがわかった。また、不胎化された為替介入や、公表介入額に基づいた為替介入の指標はモデルに追加的な説明力を与えないことがわかった。

どうすればデフレ期待を反転できるか?-国民生活モニター調査(個票)による検証-

本研究は、内閣府国民生活局による「国民生活モニター調査」の個票を活用し、期待物価上昇率の計測した他、デフレ期待反転に必要な要素の解明、デフレ期待が消費に与えた影響の検証を試みている。それによれば、期待物価上昇率は近年概ねマイナス0.5%から0%の間にあり、そうしたデフレ期待は消費抑制効果を有した。また、期待形成要因の分析から、2001年来の量的緩和策は、デフレ期待の反転に効果を持たなかったことが分った。

日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか

日本企業の研究開発は売上げや利益に結びついているだろうか。この点を確かめるために、第1に研究開発と設備投資との関係、第2に研究開発と利益との関係、第3に研究開発と企業成長との関係を調べた先行研究をレビューした。その結果、研究開発の効率低下を示唆する研究が多いといえそうである。なぜ効率が低下したのか。一つの理由は、日本企業の技術戦略が1980年代後半以降閉鎖的になったからである。

短期日本経済マクロ計量モデル(2003年版)の構造と乗数分析

内閣府・経済社会総合研究所(旧経済企画庁・経済研究所)では、90年代以降の日本経済から推測される構造変化と最新データに基づくモデルへの要請とに鑑み、「短期日本経済マクロ計量モデル」(堀他[1998])を1998年に公表した。その後2001年10月には、「短期日本経済マクロ計量モデル(2001年暫定版)」(堀他[2001])でその改訂状況を報告している。本資料は、更に改訂を重ねた2003年8月時点のモデルを紹介するものである。


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全文の構成

  1. 1ページ
    目次別ウィンドウで開きます。(PDF形式 452 KB)

(論文)

「累進所得税と厚生変化-公的資金の社会的限界費用の試算-」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 640 MB) 林 正義、別所 俊一郎

 

  1. 3ページ
    1.はじめに
  2. 5ページ
    2.SMCFの導出
  3. 12ページ
    3.SMCFの計測
  4. 26ページ
    4.逆最適化問題
  5. 29ページ
    5.結語
  6. 30ページ
    参考文献

「金融政策の波及チャネルとしての為替レート」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 831 KB) 寺井 晃、飯田 泰之、浜田 宏一

 

  1. 37ページ
    1.はじめに
  2. 38ページ
    2.金融政策と為替レート
  3. 40ページ
    3.基本モデルとしてのマネタリーアプローチ
  4. 42ページ
    4.為替レート説明のデータ
  5. 45ページ
  6. 53ページ
    6.ベースマネーとマネーサプライ、ゼロ金利政策
  7. 55ページ
    7.結論
  8. 56ページ
    参考文献

「どうすればデフレ期待を反転できるか?-国民生活モニター調査(個票)による検証-」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1.01 MB)

清水谷 諭、堀 雅博

  1. 60ページ
    1.はじめに
  2. 62ページ
    2.「国民生活モニター調査」の概要
  3. 63ページ
    3.物価期待水準の推計
  4. 66ページ
    4.期待物価上昇率の決定要因
  5. 74ページ
    5.物価期待の家計消費への影響
  6. 78ページ
    6.結論と政策的インプリケーション
  7. 79ページ
    参考文献

(展望)

「日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 606 MB)

榊原 清則、辻本 将晴

  1. 82ページ
    1.はじめに
  2. 82ページ
    2.研究開発と設備投資
  3. 85ページ
    3.研究開発と利益
  4. 87ページ
    4.研究開発と企業成長:マッキンゼー調査
  5. 89ページ
    5.研究開発投資の収益率分析
  6. 92ページ
  7. 96ページ
    7.日本企業のイノベーション課題とマネジメント
  8. 99ページ
    8.おわりに
  9. 100ページ
    参考文献

(資料)

「短期日本経済マクロ計量モデル(2003年版)の構造と乗数分析」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 928 KB)

堀 雅博、青木 大樹

  1. 106ページ
    1.『短期日本経済マクロ計量モデル』の基本構造
  2. 108ページ
    2.モデルの動学的パフォーマンス
  3. 130ページ
    3.残された課題
  4. 131ページ
    主要参考文献
  5. 132ページ
    研究所でこれまでに出された日本モデル関連刊行物
  6. 133ページ
  7. 169ページ
  8. 173ページ
  9. 195ページ
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