経済分析第177号
経済分析第177号(ジャーナル版)

平成17年12月
(論文)
昭和恐慌期のマネーと銀行貸出は、どちらが重要だったか
原田 泰(大和総研チーフエコノミスト、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
沖縄県における保育サービスの質及び供給効率性の定量的評価:ミクロデータによる検証
清水谷 諭(一橋大学経済研究所助教授)
野口 晴子(東洋英和女学院大学助教授)
(特集) 銀行機能低下、デフレ期待と信用乗数-日本経済は何故停滞したのか-
「特集 銀行機能低下、デフレ期待と信用乗数」について
原田 泰(大和総研チーフエコノミスト、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
金融システム不安定化による信用乗数の低下
小林 慶一郎(独立行政法人経済産業研究所研究員)
コメント:金融不安説に関する理論上の問題と実証的論点
飯田 泰之(駒澤大学経済学部専任講師)
リジョインダー
小林 慶一郎(独立行政法人経済産業研究所研究員)
継続的デフレ期待と信用乗数の低下
飯田 泰之(駒澤大学経済学部専任講師)
コメント:-期待は不均衡の原因たり得るか-
小林 慶一郎(独立行政法人経済産業研究所研究員)
リジョインダー
飯田 泰之(駒澤大学経済学部専任講師)
(研究ノート)
IT革新と金融業における投入構造の変化-産業連関表による分析-
鷲崎 早雄(静岡産業大学経営学部教授)
藤井 眞理子(東京大学先端科学技術研究センター教授)
(調査)
フランスとドイツの家族政策と日本への含意-フランスの出生率はなぜ高いのか-
林 伴子(内閣府参事官(国際経済担当)、元経済社会総合研究所主任研究官)
爲藤 里英子(内閣府経済社会総合研究所研究官)

(要旨)

(論文)

昭和恐慌期のマネーと銀行貸出は、どちらが重要だったか

世界大恐慌期において、多くの銀行が破綻し、それが恐慌をさらに深刻なものとしたという分析がある。しかし、日本において、銀行機能の低下と大恐慌についての実証的研究は少ない。

そこで、本稿は、1922年から36年の月次データにより、マネーと貸出の生産に与える影響をVARモデル等で推計し、どちらが生産や物価に有意な影響を与えているかを見た。結果として、銀行貸出が生産や物価に与える影響はわずかだった。


沖縄県における保育サービスの質及び供給効率性の定量的評価:ミクロデータによる検証

沖縄県は、大都市部以外でありながら待機児童問題が極めて深刻である。本論文は、保育所レベルの非常に豊富なミクロデータを用いて、保育サービスの質は、私立認可保育所、公立保育所、認可外保育所の順で優れていること、質を調整した費用関数を推計すると、公立保育所は認可外保育所に比べて明らかに効率的でないが、私立認可保育所と認可外保育所の間には効率性の点で統計的に有意な違いはないことを明らかにした。


(特集)  銀行機能低下、デフレ期待と信用乗数-日本経済は何故停滞したのか-

金融システム不安定化による信用乗数の低下

銀行機能の低下が、信用乗数の低下を引き起こす可能性があることを、簡単な理論モデルで示し、さらにVARで実証を行った。VARの結果、銀行株価への負のショックがマネーサプライの低下を引き起こすことが示された。


継続的デフレ期待と信用乗数の低下

本論文では、信用乗数の決定要因に関し、銀行機能低下原因説、デフレ期待要因説という2つの代表的な仮説の検証を行った。分析の結果、1)90年代には非金融部門の現預金比率上昇が2000年代の信用乗数低下は銀行の超過準備保有が信用乗数の低下要因である、2)期待インフレ率は有意に信用乗数を説明する、3)銀行の財務データには不良債権仮説とは矛盾する事実が多い、などの結論が得られた。


(研究ノート)

IT革新と金融業における投入構造の変化-産業連関表による分析-

産業連関表を再構成することにより「IT投入」を細目から定義し、金融部門に焦点をあてて分析すると、金融業のIT投入は他の産業に比較して相当に高い比率で推移してきたことが分かる。しかし、他の産業で顕著なIT投入の増加が見られた1990年代後半をみると、金融部門での伸びは緩やかなものにとどまっており、2000年までのデータからは情報通信技術の進展による新たな金融機能の展開を目指す動きの明確なサインは得られていない。


(調査)

フランスとドイツの家族政策と日本への含意-フランスの出生率はなぜ高いのか-

高水準の女性労働力率と出生率が両立しているフランスと、出生率の低いドイツの家族政策とその活用状況について、日本とも比較可能な形で現地調査を行った。その結果、フランスでは家族手当が手厚く、きめの細かい制度となっていることから、女性の出産後の復職も多様であることが分かった。また、ドイツでは現金給付は手厚い一方、保育サービスの不足などにより、子どもを生み育てる機会費用が高くなっていた。


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全文の構成

  1. 1ページ
    目次別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1.0 MB)

(論文)

「昭和恐慌期のマネーと銀行貸出は、どちらが重要だったか」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 394 KB)

原田 泰

  1. 3ページ
    はじめに
  2. 3ページ
    1.これまでの研究成果
  3. 5ページ
    2.実証分析別ウィンドウで開きます。(PDF形式 700 KB)
  4. 19ページ
    結論
  5. 20ページ
    邦文参考文献
  6. 21ページ
    欧文参考文献

「沖縄県における保育サービスの質及び供給効率性の定量的評価:ミクロデータによる検証」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 664 KB)

清水谷 諭、野口 晴子

  1. 25ページ
    1.はじめに
  2. 26ページ
    2.先行研究
  3. 28ページ
    3.データ
  4. 29ページ
    4.「点数評価アプローチ」によるサービスの質の評価
  5. 33ページ
  6. 37ページ
    6.サービスの質を考慮したコスト関数の推計
  7. 43ページ
    7.結論
  8. 44ページ
    参考文献
  9. 47ページ
    (特集) 銀行機能低下、デフレ期待と信用乗数-日本経済は何故停滞したのか
  10. 48ページ
    「「特集 銀行機能低下、デフレ期待と信用乗数」について」 原田 泰

「金融システムの不安定化による信用乗数の低下」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 542 KB)

小林 慶一郎

  1. 51ページ
    1.はじめに
  2. 52ページ
    2.理論
  3. 57ページ
    3.VARによる実証
  4. 59ページ
    4.デフレ下で、現金が預金より選好される理由は何か
  5. 62ページ
    5.結論
  6. 63ページ
    参考文献

コメント:金融不安説に関する理論上の問題と実証的難点別ウィンドウで開きます。(PDF形式 264 MB)

飯田 泰之

  1. 64ページ
    はじめに
  2. 64ページ
    モデル上の疑問点
  3. 65ページ
    実証上の問題点
  4. 66ページ
    デフレ期待仮説への批判について
  5. 66ページ
    参考文献

リジョインダー別ウィンドウで開きます。(PDF形式 136 KB)

小林 慶一郎

  1. 68ページ
    1.理論モデルについて
  2. 68ページ
    2.実証の手法について
  3. 68ページ
    3.実質金利の高止まり、または、デフレ期待の継続について

「継続的デフレ期待と信用乗数の低下」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 417 KB)

飯田 泰之

  1. 72ページ
    1.はじめに
  2. 73ページ
    2.信用乗数の説明仮説について
  3. 75ページ
  4. 81ページ
    4.超過準備問題と信用乗数の低下
  5. 85ページ
    5.結論
  6. 85ページ
    参考文献

コメント:-期待は不均衡の原因たり得るか別ウィンドウで開きます。(PDF形式 230 KB)

小林 慶一郎

  1. 87ページ
    1.実証結果について
  2. 88ページ
    2.デフレ期待原因説の理論的難点
  3. 89ページ
    3.銀行問題について
  4. 89ページ
    参考文献

リジョインダー別ウィンドウで開きます。(PDF形式 216 KB)

飯田 泰之

  1. 90ページ
    1.VARモデルについて
  2. 91ページ
    2.価格硬直性について
  3. 92ページ
    3.健全な銀行財務と金融システム不安
  4. 92ページ
    参考文献

(研究ノート)

「IT革新と金融業における投入構造の変化
-産業連関表による分析」別ウィンドウで開きます。
(PDF形式 651 KB)

鷲崎 早雄、藤井 眞理子

  1. 96ページ
    はじめに
  2. 98ページ
    1.分析のフレームワーク
  3. 101ページ
    2.金融部門の投入構成および産出構成の特徴
  4. 106ページ
    3.情報関連部門の投入
  5. 109ページ
    4.影響力と感応度
  6. 112ページ
    5.まとめにかえて
  7. 113ページ
    参考文献

(調査)

「フランスとドイツの家族政策と日本への含意
-フランスの出生率はなぜ高いのか-」別ウィンドウで開きます。
(PDF形式 1.2 MB)

林 伴子、爲藤 里英子

  1. 117ページ
    1.問題意識
  2. 117ページ
    2.既存文献のサーベイ
  3. 119ページ
    3.調査の概要
  4. 119ページ
    4.調査結果の分析と考察
  5. 143ページ
  6. 144ページ
    引用文献
  7. 146ページ
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