経済分析第181号
経済分析181号(ジャーナル版)

平成21年1月
(論文)
出生意図と出生行動
松浦 司(京都大学経済研究所附属 先端経済政策研究センター研究員)
総合職女性の管理職希望に関する実証分析─均等法以後入社の総合職に着目して─
安田 宏樹(慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程)
家計貯蓄・企業貯蓄・政府貯蓄:代替性の日米比較
松林 洋一(神戸大学大学院経済学研究科教授)
年金債務からみた2004年年金改革の評価
川瀬 晃弘(東洋大学経済学部)
木村 真(北海道大学公共政策大学院)
都市別データによる外国人労働者の一考察
―地域的な分布状況及び地域経済に与える影響―
河越正明(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
星野 歩(東海旅客鉄道(株)財務部、前(社)日本経済研究センター経済分析部中期班)
(資料)
短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の構造と乗数分析
内閣府経済社会総合研究所・計量モデルユニット
飛田史和(金融庁監督局参事官、前内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)
田中賢治(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)
梅井寿乃(内閣府国民生活局総務課、前内閣府経済社会総合研究所研究官)
岩本光一郎(早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員、内閣府経済社会総合研究所客員研究員)
鴫原啓倫(内閣府経済社会総合研究所行政実務研修員)
DYNARE による動学的確率的一般均衡シミュレーション
~新ケインズ派マクロ経済モデルへの応用~
矢野浩一(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)

(要旨)

(論文)

出生意図と出生行動

松浦 司(京都大学経済研究所附属 先端経済政策研究センター研究員)

本稿は以下の三つのことを目的とした。第1に、Butz and Wardモデルを分析するに際して、先行研究と異なり、子どもを欲しいかどうかという本人の意思に着目して分析を行う。つまり、子どもが欲しいと考えている人にとって、世帯所得や女性の個人所得が子どもを産むという行動にどのように関係しているのかについて検証する。第2に、子どもを欲しいという本人の意思は、どのような社会的、経済的要因に影響されるかを分析する。第3に、子どもを何人欲しいかという欲しい子ども数(=出生意図数)と現実子ども数の乖離はどのような要因によって生じているかを考察することである。


総合職女性の管理職希望に関する実証分析
─均等法以後入社の総合職に着目して─

安田 宏樹(慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程)

本稿では、総合職女性の管理職希望の規定要因について個票データを用いて考察を行った。分析の結果、「心身に負担のかからない職場」や「ワーク・ライフ・バランス」を希望している総合職女性は管理職希望が弱く、他方で、「男女均等処遇」を希望している総合職女性は管理職希望が強いことが確認された。これらの結果から、均等法以後に入社した総合職女性であっても、管理職への昇進に対する嗜好は大きく異なることが示唆される。


家計貯蓄・企業貯蓄・政府貯蓄:代替性の日米比較

松林 洋一(神戸大学大学院経済学研究科教授)

本稿では、家計、企業、政府の部門別貯蓄の代替性を、日米両国の比較を通じて定量的に明らかにする。まず、代替メカニズムを、経済主体の異時点間にわたる最適化行動に立脚しつつ、理論的に明確にしておく。続いて定量的な分析が試みられる。家計貯蓄、企業貯蓄については、両国ともに、1970年代以降、若干の代替性が観察される。他方、家計貯蓄と政府貯蓄については、代替性は確認できないが、わが国では、近年において若干の代替が生起している可能性がある。


年金債務からみた2004年年金改革の評価

川瀬 晃弘 (東洋大学経済学部)

木村 真 (北海道大学公共政策大学院)

本稿では,Open Group,Closed Group,Plan Terminationの三つの指標を用いて年金債務を推計し,2004年年金改革の評価を行った。分析の結果,次のことが明らかになった。

改革において給付額抑制と将来保険料が明らかにされたことでOpen Groupの債務は解消された。Closed Groupの債務は376兆円となり,改革時に選挙権を持たない将来世代にこの負担を押し付けることで制度の持続可能性を図った。Plan Terminationの債務は419兆円となり,制度を廃止して清算するより継続する方がコストは低くなった。


都市別データによる外国人労働者の一考察
―地域的な分布状況及び地域経済に与える影響―

河越 正明(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)

星野 歩(東海旅客鉄道(株)財務部、
前(社)日本経済研究センター経済分析部中期班)

都市別データを用いると、外国人労働者比率の分布は概ね対数正規分布で近似されるが、2000~2003年にやや2極化が進む兆しがある。大都市だけでなく、小規模都市にも外国人労働者が高い比率で存在し、特にブラジル人の比率は、東海や北関東・甲信で高く、工業出荷額との相関が高い。ブラジル人の製造業就業の便益(付加価値比)を試算すると、最大値でも1.8 %であって、0.5 %を上回るのは僅か6 都市である。


(資料)

短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の構造と乗数分析

内閣府経済社会総合研究所・計量モデルユニット

飛田 史和(金融庁監督局参事官、前内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)

田中 賢治(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)

梅井 寿乃(内閣府国民生活局総務課、前内閣府経済社会総合研究所研究官)

岩本 光一郎(早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員、
内閣府経済社会総合研究所客員研究員)

鴫原啓倫(内閣府経済社会総合研究所行政実務研修員)

内閣府・経済社会総合研究所は、随時の改訂が可能で、公開性及び機動性の高いコンパクトな「短期日本経済マクロ計量モデル」を開発し、1998年に公表した。「短期日本経済マクロ計量モデル」は、四半期ベースの推定パラメータ型計量モデルである。2008年版においては、方程式総数152本、うち推定式48本の中型のモデルであり、財貨・サービス市場、労働市場、貨幣市場、及び外国為替市場の4市場から構成される。伝統的なIS-LM-BP型のフレーム・ワークであり、いわば「価格調整を伴う開放ケインジアン型」と言える。本稿においては、1990年から直近時点のデータを利用し、経済の情勢を織り込んで改訂を行ったものである。


DYNAREによる動学的確率的一般均衡シミュレーション
~新ケインズ派マクロ経済モデルへの応用~

矢野浩一(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)

本論文はDYNAREを用いた動学的確率的一般均衡モデルのシミュレーションを解説する。近年、ミクロ経済学的基礎を持つ新ケインズ派(New Keynesian)マクロ経済モデル(New IS-LM)やそれを発展させたHybrid New IS-LMなどが提案されている。本論文ではDYNARE を用いて、New IS-LMならびにHybrid New IS-LM等のシミュレーションを解説する。


本号は、政府刊行物センター、官報販売所等別ウィンドウで開きます。にて刊行しております。

全文の構成

(論文)

「出生意図と出生行動」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1,481 KB)

松浦 司

  1. 3ページ
    1.はじめに
  2. 6ページ
    2.先行研究
  3. 9ページ
    3.出生意図と出生行動の図表を用いた説明
  4. 11ページ
    4.データとモデルの説明
  5. 12ページ
    5.出生意図と出生行動に関する実証分析
  6. 17ページ
    6.出生意図の決定要因
  7. 19ページ
    7.出生意図数と現実子ども数の乖離について
  8. 20ページ
    8.結論と今後の課題
  9. 21ページ
    参考文献

「総合職女性の管理職希望に関する実証分析
─均等法以後入社の総合職に着目して─」別ウィンドウで開きます。
(PDF形式 848 KB)

安田 宏樹

  1. 25ページ
    1.はじめに
  2. 26ページ
    2.女性管理職が増えない理由
  3. 30ページ
    3.データと分析方
  4. 33ページ
    4.女性は管理職に就くことを希望しているか
  5. 34ページ
    5.回帰分析
  6. 43ページ
    6.むすび
  7. 44ページ
    参考文献

「家計貯蓄・企業貯蓄・政府貯蓄:代替性の日米比較」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1,025 KB)

松林 洋一

  1. 48ページ
    1.はじめに
  2. 48ページ
    2.展望
  3. 50ページ
    3.モデル
  4. 55ページ
    4.データ
  5. 59ページ
    5.実証分析
  6. 68ページ
    6.おわりに
  7. 69ページ
    <付注1>データの収集
  8. 71ページ
    <付注2> 本文(3)式の導出プロセ
  9. 72ページ
    <付注3> 本文(15)式の導出プロセス
  10. 74ページ
    参考文献

「年金債務からみた2004年年金改革の評価」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 893 KB)

川瀬 晃弘・木村 真

  1. 80ページ
    1.はじめに
  2. 81ページ
    2.年金債務の計算方法と先行研究
  3. 86ページ
    3.推計方法
  4. 89ページ
    4.2004年年金改革の評価
  5. 93ページ
    5.むすび
  6. 95ページ
    補 論
  7. 98ページ
    参考文献

「都市別データによる外国人労働者の一考察
-地域的な分布状況及び地域経済に与える影響-」別ウィンドウで開きます。
(PDF形式 1,936 KB)

河越 正明・星野 歩

  1. 101ページ
    1.はじめに
  2. 102ページ
    2.マクロ的な状況
  3. 103ページ
    3.外国人労働者の地理的な分布
  4. 116ページ
    4.地域経済に与える影響
  5. 123ページ
    おわりに
  6. 124ページ
    参考文献

(資料)

「短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の構造と乗数分析」別ウィンドウで開きます。(PDF形式 928 KB)

飛田 史和・田中 賢治・梅井 寿乃・岩本 光一郎・鴫原 啓倫

  1. 127ページ
    第1章 短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の概要
  2. 130ページ
    第2章 今回の主な改訂事項
  3. 137ページ
    第3章 モデルの動学的パフォーマンス
  4. 148ページ
    補論 設備投資関数に関する残された課題
  5. 151ページ
    参考・参照文献

「DYNARE による動学的確率的一般均衡シミュレーション
~新ケインズ派マクロ経済モデルへの応用~」別ウィンドウで開きます。
(PDF形式 980 KB)

矢野 浩一

  1. 155ページ
    1.はじめに
  2. 157ページ
    2. New IS-LM
  3. 160ページ
    3. Hybrid New IS-LM
  4. 166ページ
    4. 流動性制約下の家計を伴う Hybrid New IS-LM
  5. 170ページ
    5. まとめ
  6. 171ページ
    付録A プログラムファイル名
  7. 171ページ
    付録B Collard and Juillard (2001b) 全訳
  8. 179ページ
    付録C New IS-LM の導出
  9. 187ページ
    付録D Sims (2002) による線形合理期待モデルの解法
  10. 190ページ
    付録E 対数線形化について
  11. 190ページ
    参考文献
  12. 195ページ
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
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