ESRI Discussion Paper Series No.8
経済離陸と資本逃避

2001年12月
澁谷
(小樽商科大学商学部経済学科教授、内閣府経済社会総合研究所客員研究員)

要旨

この論文では、自由な国際資本移動の下で、経済離陸と資本逃避を複数均衡としてとらえる理論モデルを分析する。経済発展の初期段階では、各種投資は相互補完的であり、生産は資本に関して収穫逓増の特徴を持つと考えられる。生産における収穫逓増は、国際投資家達の最適投資行動に戦略的補完関係を生む。その結果、高資本均衡と低資本均衡という二つの安定均衡が存在する。これら二つの均衡間の移動が、経済発展の過程における経済離陸と資本逃避である。

高資本均衡では、リスクプレミアム付金利平価が成立しており国際投資は効率的である。均衡を決定する基本要因は、収益要因とリスク要因に分類できる。経済発展における政府の役割は、これらの要因を望ましい方向に変化させる諸政策を通じて、経済を高資本均衡へと導くことにある。国際金融市場の発展は、より多くの投資家間におけるリスク分散を通じて、途上国が経済離陸を達成する可能性を増大する。国内資本蓄積と資本自由化から成る開発戦略によって、途上国は高資本均衡を達成できる。ただし、国内資本が十分に蓄積される前に資本自由化を実行しても、途上国は低資本均衡から脱出できない。

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全文の構成

  1. Abstract
  2. 1ページ
    1. Introduction
  3. 5ページ
    2. The Model of Optimal Portfolio and Nash Equilibria
    1. 5ページ
      A. Production function with increasing and decreasing returns
    2. 7ページ
      B. Optimal portfolio decision of international investors
    3. 9ページ
      C. Strategic complementarity and multiple Nash equilibria
    4. 12ページ
      D. Interest rate parity with risk premium
  4. 13ページ
    3. Comparative Statics of Return and Risk Factors
    1. 13ページ
      A. Expected exchange rate, expected productivity, and the world interest rate
    2. 14ページ
      B. Exchange rate risk, productivity risk, and risk aversion
  5. 15ページ
    4. Mechanism of Economic Takeoff and Capital Flight
    1. 15ページ
      A. Sudden capital inflows and outflows
    2. 17ページ
      B. Emerging economies and capital flight
    3. 18ページ
      C. Economic takeoff and coordination failure
  6. 19ページ
    5. Policy Implications
  7. 23ページ
    6. Conclusion
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