ESRI Discussion Paper Series No.57
保育サービス供給の効率性-ミクロデータによる費用関数の推計-

2003年8月
清水谷
(内閣府経済社会総合研究所研修企画官)
野口晴子
(内閣府経済社会総合研究所客員研究員、東洋英和女学院大学助教授)

要旨

1.趣旨、問題設定

いわゆる「待機児童問題」にみられるように、大都市部の低年齢児を中心に、高コストによる保育サービスの供給不足が非常に深刻になっている。その解消のためには、低コスト・高品質の保育サービスを充実させていくことが急務であり、新規参入の促進とともに、既存の保育所の一層の効率化が求められている。

本論文は、保育所のシェアの大半を占める公立保育所と私立認可保育所に焦点を当て、ミクロデータによる費用関数の推計を行い、効率性の比較検証を行う。

2.手法

本論文では2002年に関東近辺10都県から収集した公立及び私立認可保育所データを活用し、1)保育所レベルのデータ(1351保育所)と 2)市町村レベルのデータ(419市町村)を用いて、コブダグラス型、トランスログ型の費用関数を推計する。その際、本ディスカッションペーパーシリーズNo54「保育サービスの質の定量的評価-ミクロデータによる検証-」で計測したサービスの質を調整した上で、経営主体別のダミー変数を説明変数に加え、その符号と統計的有意性を検証する。

3.分析結果の主要なポイント

  1. (1) 保育所レベルでの費用関数の推計結果では、公立保育所の方が1割から2割程度コスト高である。
  2. (2) 市町村レベルでの費用関数の推計結果でも、公立保育所のほうが1割程度コスト高である。また、サービスの質を調整した上でも保育所の運営費に占める補助金の割合が高いほど、コスト高である。

4.結び

サービスの質を調整した上で費用効率性を比較した場合、公立保育所は私立認可保育所に比べて明らかにコストが高い。また、保育所の運営費に占める補助金の割合が高いほど、コストが高い。

従って、高コスト体質による保育サービスの供給不足を解消していくためには、公立保育所の経営効率性を高めるとともに、補助金が経営の非効率性と結びついていることに留意すべきであろう。

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Quality Adjusted Cost Function in Japanese Child Care Market:Evidence from Micro-level Data別ウィンドウで開きます。(PDF形式 120 KB)

全文の構成

  1. 1ページ
    abstract
  2. 2ページ
    1.Introduction
  3. 3ページ
    2.Literature Survey
  4. 6ページ
    3.Data Description
  5. 8ページ
    4.Cost Structure in the Japan's Child Care Centers
  6. 9ページ
    5.Estimation of Facility-level Cost Functions
  7. 10ページ
    6.Estimation of Municipality-level Cost Functions
  8. 11ページ
    7.Conclusion
  9. 12ページ
    References
  10. 14ページ
    Figures and Tables
  11. 21ページ
    Appendix
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