ESRI Discussion Paper Series No.67
1970-98年における部門別生産性と日本の経済成長-JIPデータベースに基づく実証分析-

2003年10月
深尾京司
(一橋大学経済研究所教授)
友彦
(日本大学経済学部教授)
河井啓希
(慶應義塾大学経済学部助教授)
宮川
(学習院大学経済学部教授)

要旨

本論文では、我々が最近作成した産業生産性データベース(JIPデータベース)を使って、日本の全要素生産性(TFP)上昇率について詳細な分析を行った。主な結果は次の通りである。

  1. 労働の質の上昇と資本稼働率変化を考慮に入れると、1980年代から90年代にかけてのTFP上昇率の下落はそれほど大きくなかった。これらの要因を考慮しないHayashi and Prescott (2002) はTFP上昇率下落を過大に推計していた可能性がある。
  2. 一方、1980年代から90年代にかけて、産業別のTFP上昇率には大きな変化が見られた。80年代にはマクロ経済のTFP成長を支えてきた製造業の生産性上昇率が90年代に大幅に鈍化し、一方、非製造業においてTFP上昇率が加速した。
  3. 非製造業では、通信、金融・保険、商業、不動産業等、規制緩和が進んだ産業を中心に90年代にTFP上昇率の加速が生じた。しかし、米国やオーストラリア等他の先進国と比較すると日本の非製造業TFP上昇率はまだまだ低い。
  4. 90年代の製造業におけるTFP上昇率の低迷は、(1)新規参入率の極端な低迷、(2)マイナスの参入・退出効果(生産性の高い企業が退出し、低い企業が存続する)、(3)資源再配分効果(生産性の高い企業の市場シェアが拡大することにより産業全体の生産性が上昇する効果)の低迷、といった市場の「新陳代謝機能」の低下によって生じている可能性がある。

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Sectoral Productivity and Economic Growth in Japan, 1970-98:-An Empirical Analysis Based on the JIP Database-別ウィンドウで開きます。(PDF形式 163 KB)

全文の構成

  1. 1ページ
    1.Introduction
  2. 3ページ
    2.Supply-Side Causes of Japan's Stagnation: An Analysis at the Macro Level
  3. 10ページ
    3.Sectoral Productivity Growth in Japan
  4. 12ページ
    4.Possible Structural Factors behind the Recent Change in Sectoral TFP Growth
  5. 18ページ
    5.Conclusions
  6. 20ページ
    Appendix
  7. 31ページ
    References
  8. 37ページ
    Tables & Figures
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