ESRI Discussion Paper Series No.73
一般均衡型世代重複シミュレーションモデルの開発-これまでの研究事例と今後の発展課題-

2003年10月
  • 川崎 研一(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)
  • 島澤 諭(内閣府経済社会総合研究所客員研究員、秋田経済法科大学専任講師)

要旨

1.主旨および目的

人口構造等の変化が経済に与える影響の定量的な評価については、Auerbach and Kotlikoff(1983)を先駆けとして、内外を問わずこれまで多数の世代重複シミュレーションモデルによる先行研究が積み重ねられている。本稿では、こうした世代重複シミュレーションモデルの概要について、代表的な先行研究を素材として整理・検討し直す。それを踏まえた上で、世代重複シミュレーションモデルの今後の発展課題について一つの方向性を示す。

2.世代重複シミュレーションモデルの理論的基礎と基本形

まず、世代重複シミュレーションモデルの理論的基礎そのものについて解説するが、その際、3段階に分けてモデルを提示する。すなわち、まずは(1)家計と企業の2部門のみのモデルであり、続いて(2)政府部門を導入し、そして最終的には(3)年金部門を導入する。この年金部門は年金財政方式によりさらに(a)積立方式と(b)賦課方式とに分けられる。 次に、世代重複シミュレーションモデルそのものの先行研究から、家計部門、企業部門、政府部門、社会保障部門に関するシミュレーションモデルの理論上の基礎的な骨格を抽出するとともに、各部門における発展形についてもあわせて解説を行う。

3.政策的インプリケーション

更には、これまでの世代重複シミュレーションモデルによる分析から、政策的インプリケーションを抜き出し、そのまとめを行う。それによると高齢化の進展は、(1)資本蓄積、(2)労働供給、という2つの経路から経済成長率を低め、また世代間の厚生に対してもネガティブな影響を与えることが指摘されている。また、これに対して、高齢化問題を克服するための制度改革も提言されている。

4.まとめ

ただし、これまでの先行研究の結論は、各々で仮定されているその他諸々の条件に大きく依存している可能性が十分にある。したがって、少子高齢化が経済に与える普遍的な影響を分析するためには、前提条件がより一般化されたモデルでの分析が改めて必要となってくるものと思われる。特に、今後のOLGモデルの開発、改良に当たっては、開放経済体系といったより現実経済に近い仮定のもとで、高齢化の進展が我が国経済だけでなく、他の先進各国等に与える影響、また、各国間での国際的な資本などの生産要素の移動を通じた効果を分析することが有効であると考えられる。

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全文の構成

  1. 1ページ
    1.はじめに
  2. 2ページ
    2.一般均衡型世代重複シミュレーションモデルの理論的基礎
    1. 2ページ
      (1)2部門モデル
    2. 5ページ
      (2)政府部門の導入
    3. 6ページ
      (3)年金部門の導入
  3. 8ページ
    3.OLG シミュレーションモデルの基本
    1. 9ページ
      (1)家計
    2. 12ページ
      (2)企業
    3. 14ページ
      (3)政府
    4. 16ページ
      (4)年金部門
    5. 17ページ
      (5)均衡条件
    6. 17ページ
      (6)動物学的特徴
  4. 18ページ
    4.政策的インプリケーション
    1. 18ページ
      (1)対象研究
    2. 19ページ
      (2)高齢化進展の影響
    3. 21ページ
      (3)年金改革による影響
    4. 21ページ
      (4)開放体系下での高齢化の影響
    5. 22ページ
      (5)まとめ
  5. 22ページ
    5.まとめと今後の拡張の方向性について
  6. 24ページ
    【参考文献】
  7. 26ページ
    図表
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