ESRI Discussion Paper Series No.77
Japan's Great Recession: What Went Wrong?
日本の大停滞:何が悪かったのか

2003年11月
  • 原田 泰(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)
  • 大西 茂樹(りそな銀行)

要旨

1.目的

日本の経済成長率は1980年代の3%台から90年代以降、1%台に低下した。この経済状況は「大停滞」とも呼びうる状況である。何が悪かったのだろうか。

2.先行研究から得られた分析課題

大停滞を説明しうるとされている要因をサーベイしたところ、その多くは構造問題が大停滞を引き起こしたとしている。しかし、いくつかの成長会計に関する研究によれば、1990年代の全要素生産性の成長率は、1980年代前半に比べて低下していなかった。また、これらの研究は、労働と資本の投入の低下が90年代の成長率低下を説明していることを見出している。

したがって、労働と資本の投入量がなぜ低下したかを理解することが、大停滞の謎を解くことになると結論できる。

3.分析手法と分析結果の主なポイント

労働と資本の投入量の低下の謎を解く可能な答えとして、緊縮的な金融政策によってもたらされたデフレーションが挙げられる。デフレーションは、賃金の硬直性とデフレ期待を通して実質的な経済停滞をもたらしうるからである。

そこで、これまでの多くの研究で、大停滞を説明するために用いられたVARモデルに、実質賃金と不良債権を追加したモデルを構築した。

その結果は、暫定的なものであるが、以上の推量と基本的に整合的である。金融政策変数は大停滞を説明する上で重要であり、賃金の硬直性も重要であった。不良債権をあらわす変数は重要ではなかったが、ここで用いた不良債権を表す変数は代理変数に過ぎないので、不良債権が重要でないとまで結論づけることはできない。

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全文の構成

  1. 3ページ
    1. Possible Explanations
    1. 3ページ
      The Bubble and Its Subsequent Burst
    2. 4ページ
      Structural and Supply Side Problems
    3. 5ページ
      Structural Problems of the 1990s: Still There Was in the 80s
  2. 6ページ
    2. Setting of the Problems
    1. 6ページ
      Monetary Policy
    2. 7ページ
      Effects of Monetary Policy: Temporal or Persistent?
  3. 8ページ
    3. Factors Providing Monetary Policy with Persistent Impacts
    1. 8ページ
      Wage Rigidity
    2. 9ページ
      Phillip's Curve
    3. 10ページ
      Nominal Debt Contracts
  4. 10ページ
    4. VAR Model
    1. 11ページ
      Procedures for constructing the VAR model
    2. 12ページ
      Granger Causalities
    3. 12ページ
      Impulse response functions
    4. 14ページ
      Points of Estimation Results
    5. 15ページ
      Monetary Policy Making in a Country Captured by Divided Vested Interests
  5. 16ページ
    5. Conclusions
  6. 16ページ
    Appendix
  7. 18ページ
    References
  8. Tables and Charts
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