ESRI Discussion Paper Series No.79
デフレーションは経済学では説明できないのか

2003年11月
  • 原田 泰(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)
  • 中田 一良(前内閣府経済社会総合研究所研究官)

要旨

1.背景

デフレーションが続いている。国内卸売物価で見れば1992年から物価は継続的に下落しており(消費税の影響を除く)、消費者物価(除く生鮮食品)で見ても1998年から下落している。物価の落ち着きは1990年代央までにおいては、良いことと見なされる面が強かったと思われるが、98年以降、次第にデフレこそが経済停滞の要因の一つではないかという考えが広まっているように思われる。政府においても、デフレ脱却を目標とするようになった。では、デフレーションはなぜ生じているのだろうか。そもそも物価はどのように決定されるのだろうか。それについて、経済学者はどのように考えているのだろうか。

2.目的

本稿の目的は、経済学者が、物価というマクロ経済的現象について、もっとも責任をもって執筆しているに違いないマクロ経済学の教科書において、物価の決定メカニズムをどのように説明しているかを抽出し、そのモデルによって現実の物価がどの程度説明できるかを実証することである。

3.結論

本稿の基本的な結論は、日本の経済学者の執筆した経済学の教科書において、物価決定のメカニズムは、総需要・総供給曲線に基づき、短期の決定メカニズムに重点を置いた形で明瞭に述べられている。それは、物価はマネーサプライ、需給ギャップ、期待卸売物価上昇率などで説明されるというものであり、そのメカニズムは、日本の現実の物価の動きを説明しうるということである。

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  2. 2ページ
    1.教科書から理解される物価決定モデル
    1. 2ページ
      1.1 総需要曲線と総供給曲線
    2. 3ページ
      1.2 総需要・総供給曲線から考えれる物価決定メカニズム
    3. 4ページ
      1.3 長期の物価決定メカニズム
    4. 4ページ
      1.4 アメリカの教科書における物価決定メカニズム
  3. 5ページ
    2.実証分析
    1. 5ページ
      2.1 基本的物価モデル
      1. 5ページ
        2.1.1 使用変数
      2. 6ページ
        2.1.2 レベルと階差について
      3. 6ページ
        2.1.3 単位根検定
      4. 6ページ
        2.1.4 Granger causalityのテスト結果
      5. 7ページ
        2.1.5 差分をとったケース
      6. 9ページ
        2.1.6 差分をとらないケース
    2. 10ページ
      2.2 代替的なモデル
      1. 10ページ
        2.2.1 銀行貸出を追加したモデル
      2. 10ページ
        2.2.2 過剰債務を追加したモデル
      3. 10ページ
        2.2.3 1%のショックの場合
  4. 10ページ
    結語
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