ESRI Discussion Paper Series No.95
年金は誰が負担するべきか?- 一般均衡型世代重複モデルによる数値試算 -

2004年4月
  • 島澤 諭(内閣府経済社会総合研究所客員研究員、秋田経済法科大学専任講師)

要旨

1.問題意識

少子高齢化の進行により、年金負担世代と年金受給世代のバランスが崩れつつある中、減少していく勤労世代に対して過度な負担を避けつつ年金制度の持続可能性を維持し、かつ、マクロ経済へのネガティブな影響を最小にするための一つの方法として、年金負担の財源を消費支出に求める政策について数量的な評価を行う。

2.シミュレーションモデルの概要

本稿では、一般均衡型世代重複シミュレーションモデルが使用される。具体的には、労働所得、利子所得等からなる生涯所得を予算制約として、期待形成を完全予見により行いつつ、ライフサイクル仮説にしたがい行う消費および余暇活動から得られる効用を通時的に最大化する家計部門、資本・労働・技術を生産要素とするコブ=ダグラス型生産関数で表される企業部門、歳入として、賃金税、消費支出税、利子税からなる租税収入と公債発行収入を持ち、歳出としては、年金以外の社会保障関連支出、その他の政府支出、公債利払い費及び年金部門への補助金を持つ政府部門、および積立金を保有する賦課方式により運営される年金部門の4部門から構成される1財・実物モデルである。

【シミュレーションケース】
ケース1: 厚生労働省案による年金制度改革が行われるケース
ケース2: 年金負担を従来の所得ではなく消費支出に求めるケース

3.シミュレーション結果(概要)

消費税により勤労世代のみならず引退世代に対しても広く年金負担を求める制度改革は、引退世代や現行の年金制度下においてある程度年金負担を行っている世代の効用水準を低下させはするものの、経済を活性化させ、将来世代の効用水準を増加させる、との結論が得られた。

4.留意事項

本稿で使用されたモデルは、(1)貨幣・物価が存在しない、(2)閉鎖体系である、(3)同一世代内の家計は均質である、(4)経済は常に均衡している、(5)年金・社会保障制度がかなり簡略化されている、などの点で現実経済・諸制度を大胆に捨象していると考えるのが妥当である。

したがって、本シミュレーションモデルは、かなり限定的な仮定の上に成り立つものであり、本稿で得られるシミュレーション結果を安易に現実と対比すべきではなく、あくまでも思考実験的な要素が強いことに十分留意する必要がある。

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全文の構成

  1. 2ページ
    (要旨)
  2. 3ページ
    1.はじめに
  3. 4ページ
    2.一般均衡型OLG シミュレーションモデルの概要
  4. 7ページ
    3.シミュレーション分析
    1. 7ページ
      3-1 シミュレーションの前提
    2. 8ページ
      3-2 シミュレーション分析
    3. 9ページ
      3-3 感応度分析
  5. 9ページ
    4.まとめと留意事項および今後の課題について
  6. 11ページ
    APPENDIX
  7. 12ページ
    [参考文献]
  8. 13ページ
    図表
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