ESRI Discussion Paper Series No.123
90年代以降の大停滞期に対する説明仮説について
-VARモデルによる検証-

2004年12月
  • 原田 泰(大和総研チーフエコノミスト・内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
  • 飯田 泰之(駒澤大学経済学部専任講師・内閣府経済社会総合研究所客員研究員・参議院特別調査室客員調査員)

要旨

1.問題意識

日本の経済成長率は、1980年代前半の3%台から90年代から現在までの1%台に低下してしまった。3%の成長率が1%に低下するということは、10年間後の所得は20%以上低下するということである。この停滞は大停滞と呼ぶに値する。これほど大きな問題であるにもかかわらず、この大停滞がなぜ起こったのかということについて、日本の経済学者の間でのコンセンサスは乏しい。

2.目的

これまでに提出された大停滞についての説明仮説、すなわち1)バブル仮説-バブルとその崩壊が長期の不況をもたらした、2)構造問題仮説-生産性を低下させる構造問題が90年代の成長率を低下させた、3)財政政策仮説-不十分な財政支出が経済回復を妨げた、4)金融システム仮説-金融システムの機能低下が経済成長率を低下させた、5)金融政策仮説-不十分な金融緩和が長期不況をもたらした、を整理した後に、何が大停滞をもたらしたのかを実証的に検討する。

3.分析手法

大停滞を説明するといういくつかの仮説を紹介し、次に、これらの説明のいくつかを経済理論と事実によって排除し、残りの仮説に焦点を当てる。最後に、VAR(Vector Autoregression)モデルを構築して、残された仮説を検証する。仮説のいくつかを排除するのは、データ数が限られている中でVARモデルを適応するために必要な手続きである。

4.結論

得られた結果は、マネタリーな要因が成長率低下の大きな部分を説明するというものである。金融機能の低下は重要ではないが、輸出と財政政策も一定の役割を果たしている。

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全文の構成

  1. 要旨
  2. 3ページ
    1.大停滞を説明するといういくつかの仮説
    1. 4ページ
      1.1 バブルとバブル崩壊仮説
    2. 4ページ
      1.2 構造問題がもたらした生産性ショック
    3. 5ページ
      1.3 財政政策、金融機能、金融政策
  3. 6ページ
    2.様々なVAR モデル
    1. 6ページ
      2.1 先行研究
    2. 7ページ
      2.2 金融政策と金融仲介機能に焦点を当てたVAR モデル
    3. 10ページ
      2.3 財政政策と輸出に焦点を当てたVAR モデル
    4. 11ページ
      2.4 実質金利を名目金利と期待物価に分けたVAR モデル
  4. 12ページ
    3.歴史的分解
  5. 12ページ
    結論
  6. 12ページ
    参考文献
  7. 15ページ
    図表
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