ESRI Discussion Paper Series No.145
資源配分効率から見たオイルショック期の日本の経済成長

2005年6月
  • 佐藤 綾野(新潟産業大学専任講師)

要旨

1.問題意識

1国の経済成長は、労働と資本の自由な投入が妨げられるような市場の歪みがないこと、技術進歩が活発であることによって実現される。多くの研究によって、1970年代のオイルショック期の経済成長率低下がどのような要因によって引き起こされたのかが検討されてきたが、資源配分が効率的であった場合のシミュレーションを行った分析は少ない。そこで本稿ではこの点を補完するつもりである。

2.目的

本稿の目的は、1955年から1980年までの期間を対象とし、新古典派モデルに忠実なパラメータを可能な限り選択しつつ、特に1973年の第一次オイルショックに焦点を当て、この経済変動が全要素生産性の変化あるいは要素価格の歪みによる資源配分の非効率によって引き起こされたのかどうかを明らかにするものである。またもしも効率的な資源配分が行われていた場合、達成されたはずの経済成長率などをシミュレーションによって試算する。

3.分析手法

まず第1に、資本および労働の限界生産性、オイラー方程式、余暇と消費の代替の程度を推計する。次にもしも賃金と労働の限界生産性との乖離がなかったならば、所得がどれだけ上昇していたかを試算する。最後に全標本期間にわたって経済変動が資源配分の非効率や全要素生産性の変動などによってもたらされたか否かを考察する。

4.結論

本稿の主な結果は、1970年代の日本経済が現実の賃金と労働の限界生産性との間に乖離が生じており、また資源配分の非効率は、物価、マネーサプライおよび労働市場の非効率から生じていることが明らかとなった点である。

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全文の構成

  1. 2ページ
    (要旨)
  2. 4ページ
    はじめに
  3. 4ページ
    1. 日本経済の新古典派成長モデル
    1. 4ページ
      1.1 新古典派モデル
    2. 5ページ
      1.2 使用データ
    3. 6ページ
      1.3 生産関数の推定結果
    4. 7ページ
      1.4 新古典派モデルにおける4つのfirst-order conditions
  4. 9ページ
    2. 実質賃金が労働の限界生産性と等しいと仮定した場合の労働需要および国民生産
    1. 9ページ
      2.1 実質賃金の乖離と労働投入、所得の歪み
    2. 11ページ
      2.2 コブ=ダグラス関数と経験則
  5. 12ページ
    3. 企業の限界条件の乖離と家計の限界条件の乖離
  6. 12ページ
    4. 乖離と全要素生産性の変化で1970 年代のオイルショック期の変動を説明できるか
  7. 13ページ
    5. 経済変動の要因は何か
    1. 14ページ
      5.1 推計結果
  8. 16ページ
    結語
  9. 16ページ
    参考文献
  10. 18ページ
    付表 出所一覧
  11. 19ページ
    図表
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