ESRI Discussion Paper Series No.158
都市別データによる外国人労働者の一考察
-地域的な分布状況及び地域経済に与える影響-

2006年2月
  • 河越 正明((社)日本経済研究センター経済分析部主任研究員、内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
  • 星野 歩((社)日本経済研究センター経済分析部中期班)

要旨

1.問題設定・趣旨

在留外国人の地域的な分布にはかなり偏りがあり、一部自治体では増加する在留外国人を地域社会にどのように同化していくかが、大きな問題となっている。外国人労働者に関する政策課題を考えるためには、自治体レベルまで視野にいれた分析が必要である。

そこで本稿では、都市別データを用いて、外国人労働者の都市別分布を統計的に分析すると共に、地域経済への影響を検討する。こうした分析によるミクロ・レベルでの事実発見を行うことが、本稿の狙いである。我々の知る限りでは、このような都市レベルの細かいデータを体系的に分析したものは他にない。

2.手法

入管協会『在留外国人統計』(2000~2003年)から得られる都市別データを利用し、国籍別に永住者と労働力率を調整した都市別の外国人労働者比率を推計した。この比率の分布がどのような特徴をもつか、またどのように時間的に変化するか探索的データ分析(Exploratory Data Analysis)のアプローチによって調べた。また、人口規模や産業構成比など、都市の属性との相関を国籍別に検討した

さらに『工業統計表』から得られる都市別データを利用して、ブラジル人労働者の製造業への就業が与える製造業付加価値への経済的な効果を、コブ・ダグラス型の生産関数の推計結果を活用して、試算した。

3.結果

  • (1) 都市別の登録外国人比率、外国人労働者比率は概ね対数正規分布に従う。2000-2003年の間の同時分布からは高い慣性が認められるが、外国人労働者比率は次第に2極化に向かいつつある兆候が認められる。
  • (2) 上位20市平均の外国人労働者比率は、フランス並みの水準である。
  • (3) 外国人労働者労働者の比率が高いのは必ずしも大都市とは限らない。フィリピンは全国に万遍なく分布しており、ブラジル、ペルーはむしろ小規模都市に多く、東海や北関東・甲信に集中している。
  • (4) 産業別就業者の比率との相関を見ると、第2次産業と外国人労働者比率は正の相関が見られるが、これはブラジル、ペルーが強い相関を示すことに起因する。特にブラジル人比率の高い都市は、一人当たり工業出荷額が高い傾向が見られる。
  • (5) 第3次産業就業者の比率と外国人労働者比率とは明確な関係が見られないが、これはブラジル、ペルーが示す正の相関と、他の国籍が示す負の相関が互いに相殺していることから生じている。
  • (6) 外国人労働者の及ぼす経済的便益の地域的な分布について、ブラジル人の製造業への就業の経済効果(対付加価値比)を例に推計すると、最大でも1.7%と小さな値であり、0.3%を上回るのは僅かに10都市である。分布全体の姿は、対数正規分布よりも小さい値に偏った分布(左の裾が長い分布)となる。

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  2. 概要
  3. 1ページ
    1 はじめに
  4. 1ページ
    2 マクロ的な状況
  5. 2ページ
    3 外国人労働者の地理的な分布
    1. 3ページ
      3.1 分布の特性の検討
      1. 3ページ
        3.1.1 外国人労働者の推計
      2. 3ページ
        3.1.2 分布の特徴
    2. 5ページ
      3.2 都市の他の属性との関係
  6. 8ページ
    4 地域経済に与える影響
    1. 8ページ
      4.1 分析の枠組み
    2. 9ページ
      4.2 推計
  7. 11ページ
    5 おわりに
  8. 12ページ
    参考文献
  9. 14ページ
    図表
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