ESRI Discussion Paper Series No.179
政府部門の近代化と公務員管理
―カナダを中心とした国際比較から見た日本の課題―

2007年4月
  • 小池 治(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授、前内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)

要旨

 近年、先進諸国のあいだでは政府の能力構築を図るためのさまざまな改革が進められている。改革のキーワードは成果重視のマネジメントであり、公務員管理も終身職公務員のハイアラーキーからより弾力的な人材管理へと移行しつつある。本論文では、初めにOECD諸国における公務員制度改革の現状を考察し、その特徴を明らかにする。次いで、「カナダ・モデル」と呼ばれるカナダ連邦公務員制度改革の経緯とその特徴を考察する。カナダは1990年代後半に「プログラム・レビュー」と呼ばれる行政改革を実行し、公共支出の削減と政府の役割の見直しを行った。その結果、カナダは財政赤字から脱却したが、公務員を大幅に削減したことから、行政組織の能力低下が大きな問題となった。そこでカナダでは幹部公務員制度の改革や分権的人材管理などを進めるとともに、2003年に公務管理改革法を制定して公務管理システムの抜本的な改革を行った。こうしたカナダの取り組みは、わが国の公務員制度改革を考えるうえでも重要な示唆をもつものといえる。公務員制度はその国の発展の経緯や社会経済の特性と不可分に結びついている。日本はすでに世界で最小の公務員組織を実現しているが、そのパフォーマンスを最大化し、国民の信頼を高めるための改革は喫緊の課題といわねばならない。その際には諸外国の改革モデルの模倣ではなく、新しい「日本モデル」の公務員制度を設計することが重要である。

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全文の構成

  1. 5ページ
    はじめに
  2. 8ページ
    第1章 OECD諸国における公務員の人材管理
    1. 8ページ
      (1)公務員の削減と近年の傾向
    2. 11ページ
      (2)公務員管理手法の変化
    3. 14ページ
      (3)日本の公務員管理の改革課題
  3. 18ページ
    第2章 カナダ連邦政府における公務員管理
    1. 18ページ
      (1)カナダ・モデルの行政改革
    2. 19ページ
      (2)マルルーニ政権の「PS2000」
    3. 22ページ
      (3)La Relève
    4. 24ページ
      (4)リーダーシップ・ネットワーク
    5. 26ページ
      (5)公務近代化法の制定と実施
    6. 31ページ
      (6)カナダ・モデルの意味
  4. 37ページ
    第3章 日本における公務員の人材管理の課題
    1. 37ページ
      (1)日本の公務員管理の課題
    2. 39ページ
      (2)新しい公務員管理システムの設計
  5. 43ページ
    参考文献
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  • 電話 03-5253-2111(代表)