ESRI Discussion Paper Series No.194
「景気循環成分の推計精度:シミュレーション手法によるGDPギャップの信頼区間の導出」

2008年4月
  • 浦沢 聡士(内閣府計量分析室 参事官補佐)
  • 清谷 春樹(内閣府計量分析室 参事官補佐)

要旨

今日の景気循環分析における枠組の多くは定常なデータを取り扱うことを前提に設計されているが、現実の経済統計の多くは非定常過程に従うことから、ホドリック=プレスコット・フィルターや周波数領域分析等の各種フィルターを用いて非定常なデータからトレンド成分と循環成分を抽出した上で分析を行うことが実用面において広く普及している。他方、時系列分析の理論研究は、和分次数が1次の非定常系列に対するこれらフィルターの適用が原系列の循環成分の性質を歪める効果をもつ等の問題点を指摘しており、抽出された循環成分は一定の推計誤差を伴うものと解釈する必要がある。

本稿では、こうした理論研究からの警鐘を応用研究において考慮に入れることを目的として、各種フィルタリング手法によって抽出される循環成分の精度を明らかにする方法を提唱する。具体的には、モンテカルロ法やブートストラップ法といったシミュレーション手法の適用による循環成分の繰り返し再推計を実行することで、循環成分の推計値の信頼区間を構築する。応用例として、1980年代以降の我が国の実質GDPに対してこの手法を適用したところ、その循環成分であるGDPギャップの推計値には、上下1%程度の推計誤差を伴うことが判明した。

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  2. 3ページ
    1. 序論
  3. 5ページ
    2. 景気循環成分の抽出手法
    1. 5ページ
      2-1. 線形トレンドへの回帰
    2. 6ページ
      2-2. ホドリック=プレスコット・フィルター(HPフィルター)
    3. 7ページ
      2-3. 周波数領域分析(Band-pass フィルター)
    4. 7ページ
      2-4. ホドリック=プレスコット・フィルター(HPフィルター)
  4. 8ページ
    3. フィルタリング手法により推計される景気循環成分の信頼区間
    1. 9ページ
      3-1. モンテカルロ信頼区間
    2. 11ページ
      3-2. ブートストラップ信頼区間
  5. 13ページ
    4. 応用例:我が国のGDPギャップの信頼区間
    1. 14ページ
      4-1. GDPギャップの推計と3つのアプローチ
    2. 15ページ
      4-2. フィルタリング手法を用いたGDPギャップの推計
    3. 18ページ
  6. 23ページ
    5. 結 語
  7. 25ページ
    参考文献
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