ESRI Discussion Paper Series No.199
「自然災害リスクの特殊性とそのリスクマネジメントの困難性:企業の自然災害リスクマネジメントに関するサーベイ」

2008年11月
  • 田中 賢治(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)

要旨

本稿では、自然災害リスクマネジメントに関する先行研究をサーベイすることで、企業が自然災害リスクマネジメントに取り組む際に、障害をもたらす要因について検討した。自然災害の持つ特殊性として、低い発生確率、被害の規模が非常に大きく面的な広がりを持つというカタストロフ性、それらの特殊性が原因で、現状得られる情報集合から導出される自然災害の発生確率や損害の見積もり自体に大きな不確実性が生じてしまう点が指摘できる。以上のような特殊性が、人々のリスク認知にバイアスを生じさせたり、リスク評価やリスクマネジメントの効果を評価する際の障害となったり、自然災害保険の設計を難しくするなどの問題を生じさせ、これらの問題が、企業が自然災害リスクマネジメントに取り組む際の障害になっていると推察される。また、各企業は相互に取引関係を結びながら企業活動を営んでいるため、他社の被害がこれらの相互依存関係を通じて自社にも影響するという負の外部性の問題も障害の一つであると言える。企業の自然災害リスクマネジメントは、株主や取引先企業、消費者など、企業を取り巻く様々なステークホルダーの利益にも関係することを踏まえると、企業統治の問題としても考えることができるが、情報の非対称性がエージェンシー問題を引き起こす可能性もある。

全文ダウンロード

「自然災害リスクの特殊性とそのリスクマネジメントの困難性:企業の自然災害リスクマネジメントに関するサーベイ」 別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1.12 MB)

項目別ダウンロード(全4ファイル)

  1. 本文別ウィンドウで開きます。(PDF形式 550 KB)
  2. 3ページ
    1. はじめに
  3. 4ページ
    2. 自然災害リスクマネジメントとは
    1. 4ページ
      2.1 自然災害とは
    2. 4ページ
      2.2 自然災害リスクマネジメントの手法
  4. 6ページ
    3. 自然災害リスクの特殊性とリスクマネジメントの難しさ
    1. 6ページ
      3.1 自然災害リスクの特徴
    2. 7ページ
      3.2 リスク評価の困難性
    3. 8ページ
      3.3 リスク認知の困難性
    4. 10ページ
      3.4 リスクマネジメントの経済評価の困難性
    5. 11ページ
      3.5 外部性の問題と情報の問題
    6. 12ページ
      3.6 自然災害保険の限界
    7. 14ページ
      3.7 規制とインセンティブ
  5. 15ページ
    4. 日本企業の自然災害リスクマネジメントとその情報開示
  6. 18ページ
    5. おわりに
  7. 19ページ
    <参考文献>
  8. 23ページ
    <図表>
    1. <図表(1)>別ウィンドウで開きます。(PDF形式 533 KB)、<図表(2)>別ウィンドウで開きます。(PDF形式 465 KB)、<図表(3)>別ウィンドウで開きます。(PDF形式 362 KB)
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)