ESRI Discussion Paper Series No.200
「自然災害リスクマネジメントとサプライチェーン」

2008年11月
  • 田中 賢治(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)
  • 上野山 智也(前内閣府経済社会総合研究所主任研究官)

要旨

本研究では、企業の自然災害リスクマネジメントがサプライチェーンの脆弱性の補完としての機能を持つことに着目し、製造業へのインタビュー調査により、自然災害リスクマネジメントの取り組みの現状を把握するとともに、サプライチェーンの中でみられる自然災害リスクマネジメント促進のためのメカニズムについて理論的な考察を行った。

自然災害リスクマネジメントが進んでいる企業では、取引先との信頼関係が重視され、製品を安定的に供給するという義務感が強いとともに、自然災害リスクマネジメントを怠ると市場からの信頼を失墜し、市場から閉め出されるという危機感があった。そこには、安定供給が果たされなかった場合には以降は取引をしないという暗黙の要請が長期的な取引関係の背後で機能している可能性がある。サプライチェーンには、ある企業の小さな途絶でさえ連鎖的に他社へ波及するという脆弱性がある一方で、それを補完する対策は、サプライチェーンの中での相互依存関係という性質から自社単独では不可能であるという難しさがある。サプライチェーンの性質に基づくその難しさが他社への自然災害リスクマネジメントの要求につながり、現在のところ、そのことが自然災害リスクマネジメントを促す最も大きな要因であると考えられる。

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全文の構成

  1. 3ページ
    1. はじめに
  2. 5ページ
    2. 自然災害リスクマネジメントと企業を取り巻く環境
    1. 5ページ
      2.1 自然災害リスクの特殊性
    2. 6ページ
      2.2 サプライチェーンの中での要請
    3. 8ページ
      2.3 内部統制強化の法制度の整備
  3. 9ページ
    3. 企業の自然災害リスクマネジメントの実態
    1. 9ページ
      3.1 企業インタビューの実施
    2. 9ページ
      3.2 インタビュー結果の概要
    3. 12ページ
      3.3 自然災害リスクマネジメントが進んでいる企業の特徴
    4. 15ページ
      3.4 インタビュー結果のまとめ
  4. 16ページ
    4. 理論モデルによる考察
    1. 16ページ
      4.1 基本モデル
      1. 17ページ
        4.1.1 基本ケース
      2. 19ページ
        4.1.2 基本ケースの考察
      3. 21ページ
        4.1.3 無限繰り返しケース
    2. 23ページ
      4.2 拡張:複数サプライヤーのケース
      1. 23ページ
        4.2.1 基本ケース
      2. 24ページ
        4.2.2 無限繰り返しケース
      3. 25ページ
        4.2.3 相互監視
    3. 26ページ
      4.3 理論モデルによる考察:インタビュー結果との整合性
  5. 28ページ
    5. おわりに
  6. 30ページ
    <参考文献>
  7. 31ページ
    付注1 質問内容のリスト
  8. 32ページ
    付注2 BCM コンサル企業へのインタビュー調査
  9. 33ページ
    <図表>
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