ESRI Discussion Paper Series No.204
金融の量的緩和はどの経路で経済を改善したのか

2008年12月
  • 原田 泰(大和総研常務理事チーフエコノミスト)
  • 増島 稔(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)

要旨

本研究は、量的緩和政策の経済に与える全体的な効果とその波及経路をHonda et al.[2007]に基づいて分析を始めている。VARモデルによる検証を通じて以下の4つの点が明らかになった。第1に、マネタリーベースの増加は生産を増加させる効果がある。第2に、その経路としては、資産価格を通じる経路、銀行のバランスシートを通じる経路が重要であり、銀行の情報生産機能を通じる経路、為替レートを通じる経路、時間軸効果を通じる経路は確認できない。以上はHonda et al.[2007]の確認であるが、銀行のバランスシートを通じる経路は新しい発見である。さらにこれらの経路は、経路をより厳密に分析した場合にも確認できた。第3に、量的緩和は長期的には金利を引き上げる効果があり、時間軸効果、特にシグナル効果の存在には疑いが持たれる。第4に、量的緩和政策が行われていた時期と同様、伝統的な金利政策が行われていた期間においても、マネタリーベースは生産に影響を与えていた。これらの結果は、長期にわたる景気低迷を緩和する手段として金融政策が有効であったことを示唆している。

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  2. 3ページ
    1. はじめに
  3. 3ページ
    2. Effects on これまでの研究成果
    1. 3ページ
      2.1 量的緩和政策の波及経路
    2. 3ページ
      2.2 波及経路を限定しない量的緩和政策の実証分析
    3. 6ページ
      2.3 時間軸効果への疑問
    4. 8ページ
      2.4 先行研究のまとめ
  4. 9ページ
    3. 量的緩和政策と実体経済との関係
    1. 9ページ
      3.1 データについて
    2. 10ページ
      3.2 経路を考えないVAR モデルの推計
    3. 12ページ
      3.3 経路を考慮したVAR モデルの推計
      1. 12ページ
        3.3.1 経路変数を追加した4変数VAR モデルのインパルス反応関数
      2. 19ページ
        3.3.2 日銀の国債または株式購入、株価を追加した5変数VARモデルのインパルス反応関数
      3. 21ページ
        3.3.3 株価、為替レート、銀行株価を追加した6 変数VAR モデルのインパルス反応関数
      4. 22ページ
      5. 24ページ
        3.3.5 輸出を追加した7 変数VAR モデルのプロパティ
    4. 26ページ
      3.4 時間軸経路への疑問と再検証
    5. 27ページ
      3.5 統計的関係と因果関係:量的緩和とマネタリーベース
    6. 28ページ
      3.6 金利による金融政策が行われていた期間でのマネタリーベースの効果
  5. 29ページ
    4. 結論
  6. 30ページ
    参考文献
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)