ESRI Discussion Paper Series No.207
長寿国となった経済価値はどれだけか?
経済成長の成果の一試算

2009年2月
  • 河越正明(内閣府経済社会総合研究所特別研究員、(内閣府政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(企画担当)))

要旨

1970年から2005年までの35年間に日本人の健康状態は大きく改善し、世界有数の長寿国となった。本稿はその価値を、Murphy and Topel(2003, 2006)に倣って、同期間の死亡率の低下に対する支払意思額(WTP, willingness-to-pay)を試算することで定量化した。試算結果によれば、その価値は2005年時点で年間165兆円程度、GDP比約3割に達する。また、割引率や効用関数のパラメータを変化させた場合にWTPがとり得る値を求めた。さらに人口要因がWTPに与える影響を分析し、1970年時点から人口が増加したこと、少子高齢化が進んだことが、年率換算でWTPをそれぞれ30兆円、20兆円程度増加させることを示した。2040年までを展望すると、生存率の改善の頭打ちと人口減少から、60兆円程度まで減少すると考えられる。また、死亡率の低下に要した医療費はWTPの10分の1以下であり、これまでの医療費の増加は費用便益分析上、合理的な支出増であったことが示唆される。

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全文の構成

  1. 1ページ
    1. はじめに
  2. 1ページ
    2. 理論的な設定
    1. 1ページ
      2.1 基本モデル
    2. 3ページ
      2.2 若干の拡張
  3. 3ページ
    3. 試算
    1. 3ページ
      3.1 主な変数
    2. 4ページ
      3.2 試算結果
    3. 6ページ
      3.3 パラメータの再検討
    4. 6ページ
      3.4 期間別変化
  4. 7ページ
    4. 人口要因に関する考察
    1. 7ページ
      4.1 人口規模と年齢構成
    2. 8ページ
      4.2 人口推計にもとづく将来のWTP の試算
  5. 8ページ
    5. 費用便益分析
    1. 8ページ
      5.1 ネットのWTP の計算
    2. 9ページ
      5.2 健康資本によるアプローチとの違い
    3. 10ページ
      5.3 試算
  6. 11ページ
    6. 結び
  7. 13ページ
    参考文献
  8. 14ページ
    付録A 使用データの詳細
  9. 15ページ
    経済成長の成果:図表
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