ESRI Discussion Paper Series No.222
公的R&D資金受入れが企業のR&D活動に与える影響:
日本企業の個票データを利用した実証分析

2009年9月
  • 伊藤 萬里(専修大学経済学部講師(内閣府経済社会総合研究所客員研究員))
  • 中野 諭(慶應義塾大学産業研究所研究員(内閣府経済社会総合研究所客員研究員))

要旨

本稿は、日本の1995年~2005年までの企業データを利用して、公的R&D資金受入れによる企業のR&D活動への影響を分析する。分析では、量的な影響として、1.公的R&D資金の投入が企業の自社R&D投資をクラウド・アウトするのか、質的な影響として、2.社会的収益が大きいとされる分野へのR&D活動を活発にするのかという2つの実証的課題を扱う。こうした影響評価の分析には、公的R&D資金の支給対象となるか否かという選抜過程において、もともとパフォーマンスの優れた企業が選抜されていることによるセレクション・バイアスの問題があり、受入企業と非受入企業の単純な比較は適切ではない。本研究では、この問題に対処するため、因果関係を明らかにすることが可能なプロペンシティ・スコア・マッチングを分析手法に導入している。実証分析の結果は、公的R&D資金の投入が企業のR&D投資を平均的にクラウド・アウトしないこと、社会的に影響の大きいと考えられる環境や情報通信技術などの特定分野への企業のR&D活動を促進することを示している。

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全文の構成

  1. 1ページ
    1. はじめに
  2. 3ページ
    2. 先行研究
  3. 4ページ
    3. データセットと公的R&D資金受入れの趨勢について
    1. 4ページ
      3.1 データセットについて
    2. 5ページ
      3.2 公的R&D 資金受入れの趨勢
  4. 7ページ
    4. 実証分析の枠組み
    1. 7ページ
      4.1 影響分析の問題点
    2. 8ページ
      4.2 問題の克服方法:Propensity Score Matching(PSM)手法
  5. 11ページ
    5. 分析結果
    1. 11ページ
      5.1 公的資金受入の参加確率の推計とバランス検定
    2. 12ページ
      5.2 PSM手法による公的資金受入による影響評価
  6. 15ページ
    6. 結論
  7. 16ページ
    参考文献
  8. 18ページ
    図表
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