ESRI Discussion Paper Series No.223
DAC諸国のODA支出とGDPなどの経済指標との
相関・因果関係に関する分析:
GDPはどこまでODA支出を説明できるか

2009年9月
  • 大村 昌弘(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)

要旨

ODAに関する国際目標が、もっぱらドナー国のODA支出とGDPとの関係に注目していることの妥当性に関して過去のデータに基づいて検証した。クロスセクション分析では、各種説明変数の中でGDPの説明力が際立って高く、租税負担率、経常収支、失業率、公的債務が次ぐ。ODAとGDPとの単回帰分析では、GDPの回帰係数が、1990年代初頭以降1997年まで下降し、その後安定、2002年以降持ち直した趨勢が明らかとなった。こうした傾向は、1990年代前半において国際援助理念が模索期にあったこと、また、2000年代に入りモンテレー合意に象徴されるように各国の援助コミットメントが再確認されたことと平仄が合っている。パネルデータ分析においては、GDPのみを説明変数とするモデルの説明力が一番高く、GDP、公的債務、財政収支、経常収支の4変数を用いるモデルがそれに次ぐ。1変数モデルにおいて、GDPの回帰係数は、0.2077であり、DAC諸国のGDPが100億ドル増加すると、ODA支出が2077万ドル増加することになる。GDP以外では、公的債務、財政収支、経常収支についてその順序で説明力が認められた。時系列分析では、重回帰における説明変数の中で、GDPが最も多くのケースで採用され、租税負担率、経常収支、失業率、公的債務が次ぐ。DAC等において、GDPとODA支出との関係に注目し、国際目標を作成したり、その比率をモニターすることには妥当性があると言えよう。しかし、GDP以外の経済指標(パネルデータ分析によれば、公的債務、財政収支、経常収支、回帰分析によれば、租税負担率、経常収支、失業率、公的債務)にも比較的強い説明力が認められるので、これら指標の動向にもしかるべく留意することが適当である。

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  2. 5ページ
    1. 背景
    1. 5ページ
      1.1 はじめに
    2. 5ページ
      1.2 先行研究及びDACにおける議論
    3. 6ページ
      1.3 対GDP比国際目標設定にいたる経緯
    4. 7ページ
      1.4 東西冷戦終了後の経済協力をめぐる世界情勢
  3. 8ページ
    2. 分析の枠組み
  4. 9ページ
    3. クロスセクション分析
    1. 9ページ
      3.1 ODA支出とGDPとの関係 - 単回帰分析
    2. 11ページ
      3.2 ODA支出とGDPを含む経済指標との関係 - 重回帰分析
  5. 13ページ
    4. パネルデータ分析
    1. 13ページ
      4.1 パネルデータ分析の手順
    2. 13ページ
      4.2 ODA支出とGDPとの関係
    3. 14ページ
      4.3 ODAとGDPを含む経済指標との関係
  6. 15ページ
    5. 時系列分析(VAR モデルを含む)
    1. 16ページ
      5.1 ODA支出とGDPとの関係 - 単回帰分析
    2. 17ページ
      5.2 GDPとODA・GDP比との関係
    3. 18ページ
      5.3 ODAとGDPを含む経済指標との関係 - 重回帰分析
    4. 20ページ
      5.4 VAR モデルを用いた分析
    5. 22ページ
      5.5 無償援助を被説明変数とする場合
  7. 23ページ
    6. 結論
  8. 25ページ
    参考文献別ウィンドウで開きます。(PDF形式 482 KB)
  9. 27ページ
    図表一覧
    1. 28ページ
      図3-1 DAC諸国のGDPとODA支出との相関係数
    2. 28ページ
      表3-1 クロスセクション回帰分析(1991-2006年)
    3. 28ページ
      図3-2 GDP回帰係数の推移(1991-2006年)
    4. 29ページ
      図3-3 決定係数の推移(1991-2006年)
    5. 30ページ
      表3-2 クロスセクション単回帰分析(対数使用)
    6. 30ページ
      図3-4 GDP回帰係数の推移(対数使用)
    7. 30ページ
      図3-5 単回帰決定係数の推移(対数使用)
    8. 31ページ
      図3-6 各国別ODA・GDP比率の推移
    9. 34ページ
      表3-3 ODA支出と各種経済指標の相関係数
    10. 34ページ
      図3-7 ODA支出とGDP、外貨準備の相関係数の経年推移
    11. 35ページ
      図3-8 GDPの回帰係数(クロスセクション重回帰)
    12. 35ページ
      図3-9 外貨準備の回帰係数(クロスセクション重回帰)
    13. 35ページ
      図3-10 修正済み決定係数(クロスセクション重回帰)
    14. 36ページ
      図3-11 対数変換後と変換前の散布図
    15. 37ページ
      表3-4 クロスセクション重回帰分析
    16. 38ページ
      表3-5 クロスセクション重回帰分析(対数使用)
    17. 39ページ
    18. 45ページ
      表5-1 GDPとODA支出との相関係数(各国別)
    19. 45ページ
      表5-2 ODA支出とGDPとの関係ー各国別の回帰分析
    20. 46ページ
      表5-3 各国別1次ラグを含む回帰分析
    21. 47ページ
      表5-4 GDPとODA・GDP比との関係
    22. 48ページ
    23. 59ページ
      表5-5 時系列多変数相関係数
    24. 60ページ
      表5-6 時系列重回帰分析
    25. 61ページ
      表5-7 時系列重回帰(対数変換)
    26. 62ページ
    27. 68ページ
      表5-8 各国別インパルス反応の符号
    28. 69ページ
      図5-4 共和分関係に関する分析
    29. 70ページ
      表5-9 各国の無償援助比率
    30. 71ページ
      表5-10 各国別1次ラグを含む回帰分析(無償)
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