ESRI Discussion Paper Series No.234
新卒時就職活動の失敗は挽回可能か?
家計研パネルの個票を用いた女性就業の実証分析

2010年3月
  • 前田 佐恵子(内閣府経済社会総合研究所 研究官)
  • 濱秋 純哉(内閣府経済社会総合研究所 研究官)
  • 堀 雅博(内閣府経済社会総合研究所 主任研究官)
  • 村田 啓子(内閣府経済社会総合研究所 特別研究員、首都大学東京大学院社会科学研究科教授)

要旨

本論文では、財団法人家計経済研究所の『消費生活に関するパネル調査』から得た女性に関する個票データを活用し、就職活動時におけるマクロ経済状況が後々の就業状況に与える影響を分析した。とりわけ、個々人が新卒時に常勤職に就いたか否かが、その個人の後年における就業状態に与える影響(初職効果)に注目している。

個票から得られる情報を最大限に活用し、個々人について新卒時から最近時点に至る就業履歴データを構築したことにより、単に初職効果を検出するに止まらず、初職効果が卒業年以降減衰していく経時的パターンを示すとともに、初職効果がその後数年の就業経路に依存しているか否かについての検討も行った。

実証分析の結果、先行研究同様、新卒時に常勤職で雇用されたか否かの履歴は、その後の個人の就業状態に有意に影響することが確認できた。また、初職の影響は、当初2-3年間が最も大きく、その後次第に減衰しやがて消滅する形になった。更に、こうした形で検出される初職効果は、その後数年の個人の就業経路に依存しており、新卒時に常勤職に就けなかったとしても、卒業後2-3年のうちに常勤職を見つけることができれば、その後は新卒時に常勤職に就いた人とかわらない就業状態の経路を辿れていることが分かった。

本論文の結果は、結婚や子育て等の理由により常勤職への定着性が小さい女性の場合でも、新卒時に常勤職に就く機会を逃がし、その状態が一定期間続いてしまうと、後々の人生において安定的な職業に就く機会が相当程度損なわれることを意味している。景気後退期、とりわけ「就職氷河期」のような長期の就職難に遭遇し、就職活動で不利益を被った世代に対しては、新卒時から数年が経過した後でも望ましい就業への再挑戦が可能となるような何らかの政策措置(環境整備)が検討されるべきだろう。

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  2. 4ページ
    1. はじめに
  3. 6ページ
    2. 先行研究
  4. 8ページ
    3. データ
    1. 8ページ
      3-1. 消費生活に関するパネル調査(Japanese Panel Survey of Consumers:JPSC)
    2. 8ページ
      3-2. 属性データの作成方法と基本統計量
  5. 10ページ
    4. 実証モデルと推定結果
    1. 10ページ
      4-1. 実証モデル
    2. 12ページ
      4-2. 初職効果の推定結果
    3. 12ページ
      4-3. 初職効果の持続性
    4. 13ページ
      4-4. 新卒時から数年の就業経路が初職効果に及ぼす影響
  6. 15ページ
    5. まとめ
  7. 17ページ
    図表別ウィンドウで開きます。(PDF形式 481 KB)
  8. 21ページ
    補論1. 拡張データの構築方法
  9. 23ページ
    補論2. 卒業後経過年別クロスセクション回帰の結果詳細-初職効果の持続性
  10. 25ページ
    参考文献
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