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( 要 旨 )
勤労所得税額控除(EITC)は、米国における現金支給等による反貧困層計画(プログラム)である。ある基準以下の収入しかない場合、納税者は税還付を申し立てることによりEITCの適用を受けることができる。EITCは子供を持つ家計に適用可能な制度であり、納税者は半年以上の期間、子供と同居していないと受給資格がない。本論文では米国におけるEITCと低賃金労働市場について論じてみたい。
第1章では、低賃金の米国人に適用可能な公的補助制度を概観する。米国におけるセーフティ・ネットは、家計収入に応じた給付がなされ、社会保険制度と組み合わせて提供されている。その結果、同額収入の個人や家計であっても、全く異なる給付を受け取ることになる。子供を持つ家庭、とりわけ、片親の家庭は現金給付や食費補助、健康保険、学校給食、さらに住宅給付も受け取ることができる。身障者は、より多くの現金給付や健康保険給付を受け取ることになる。大多数の老齢者は公的老齢年金、健康保険を給付され、低所得者層は現金給付を受取り、別種の健康保険制度からの給付もある。健常者や(働き盛りで)子供を持たない成人はある一定期間の食費補助がある。以上のような様々な制度や特殊な状況下にある家庭や個人が受取る給付に関して、実際に調査した金額的規模について簡単に述べてみたい。
第2章ではEITCについて述べる。税額控除のこれまでの発展を述べ、控除の対象と反貧困層への効果に関する研究結果、労働力供給への効果、EITCの制度管理・法令順守、そして幅広いセーフティ・ネットといかにうまく適合するか等の課題についてまとめる。前述のとおり、EITCは米国の反貧困層政策で中心的な役割を担っている。しかしながら税額控除は収入のある人たちだけに適用されるものなので、働けない或いは労働意欲の欠如している人たちには、この制度は何も提供するものではない。
第3章では、現在米国の反貧困層政策が直面する3つの問題点と、これらの問題に効率よく取り組めるかというEITCの実行能力を論じている。これらの問題には、まず、貧困限界線以下の収入しかない個人(子供を持たない個人で、米国の国政調査局の用語では “unrelated individuals”と呼んでいる)の数が顕著に増加しているという事象が含まれている。こういった傾向は、(これがすべてではないが)部分的には労働力市場には含まれない少数の低学歴男性が憂慮すべき程に急増していることから引き起こされている。第二に、現在アメリカのセーフティ・ネットは労働に関するものである。このことは、何かしらの理由で仕事につけない、あるいは仕事をしたくない人たちを支援するために、何ができるのかということが問題として提起されているためである。第三に、米国ではセーフティ・ネットの構造は明らかに労働志向であるが、一方で自給が達成できるような賃金増加につながる効果的アプローチであるとの有効な論拠はほとんどない。
政策的インプリケーションは、最終章で述べている。この章では、EITCのような政策を政策立案者(や国民)が遂行しようと希望する場合、米国以外ならばどんな問題が生じてくるかを論じている。
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| Abstract ------------------------------------------------------------------------------ | 1 | |
| 1. Low-Wage Labor Markets and Antipoverty Programs in the United States ---------------------- | 2 | |
| 2. The Earned Income Tax Credit ---------------------------------------------------------- | 14 | |
| 3. Three Major Antipoverty Policy Challenges ------------------------------------------------ | 24 | |
| 4. Final Thoughts ------------------------------------------------------------------------ | 30 | |
| References ---------------------------------------------------------------------------- | 37 | |
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