ESRI Discussion Paper Series No.246
世代間不均衡の研究I~財政の持続可能性と世代間不均衡~

2010年9月
  • 増島 稔(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)
  • 田中 吾朗(内閣府経済社会総合研究所研究協力者)

要旨

世代会計モデルを用いて、政府を通じた各世代の受益と負担ならびにそれと整合的な財政の姿を推計したところ、以下の諸点が明らかになった。 現在の受益・負担構造と既に決まっている社会保障制度の改革を前提とすると、イ)60歳以下の現存世代間の受益・負担の不均衡は小さい。ロ)その理由は、将来世代に負担が先送りされているためであり、これを将来世代のみが負担すれば、0歳世代と将来世代の間に生涯所得の3割強の不均衡が生じる。一方、ハ)将来世代が負担しないまま放置すれば、純債務が累積して財政は持続可能でなくなる(基本ケース)。そこで、基礎的財政収支を2015年以降、のGDPの8%弱改善すると、イ)純債務残高対GDP比は安定化し財政の持続可能性が確保される。また、ロ)将来世代と0歳世代の不均衡は大幅に縮小するが、ハ)増税を行うと若い世代ほど負担が高まり現存世代間の不均衡は拡大する(債務安定化ケース)。基礎的財政収支の改善に向けた取り組みが2035年まで遅れると、イ)現存世代間の不均衡はさらに拡大する。また、ロ)債務を安定化するために必要な基礎的財政 収支改善幅はGDPの12%弱まで大きくなり、ハ)安定化したときの純債務残高も高い水準(対GDP比260%)にとどまる(健全化遅延ケース)。 生産性上昇率が高いほど、金利が低いほど、また出生率が高いほど将来世代の負担は小さくなり、財政健全化も容易になる。

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  2. 2ページ
    要旨
  3. 4ページ
    第1章 本研究の目的
  4. 6ページ
    第2章 標準的な世代会計の考え方
    1. 6ページ
      2.1 世代会計の導出
    2. 6ページ
      2.2 現存世代の世代会計
    3. 7ページ
      2.3 将来世代の世代会計
  5. 7ページ
    第3章 モデルの概要と特色
    1. 8ページ
      3.1 世代別の受益と負担の推計方法
    2. 13ページ
      3.2 財政の持続可能性と財政収支、政府債務の推計
  6. 15ページ
    第4章 試算結果
    1. 16ページ
      4.1 2008年の受益・負担構造
    2. 16ページ
      4.2 基本ケース
    3. 20ページ
      4.3 財政健全化ケース
    4. 23ページ
      4.4 マクロ経済想定の影響
  7. 25ページ
    第5章 まとめ
  8. 26ページ
    【参考文献】
  9. 28ページ
    図表3-1 成長率・利子率の想定
  10. 28ページ
    図表3-2 社会保障給付の将来設計
  11. 29ページ
    図表4-1 2008年における世代別の受益と負担
  12. 30ページ
    図表4-2 世代別純負担率
  13. 31ページ
    図表4-3 世代別の受益と負担
  14. 32ページ
    図表4-4 既存研究との比較
  15. 33ページ
    図表4-5 基礎的財政収支(GDP比)
  16. 34ページ
    図表4-6 財政収支(GDP比)
  17. 35ページ
    図表4-7 純資産/債務(国・地方名目GDP比)
  18. 36ページ
    図表4-8 財政健全化ケースの財政収支(国・地方、GDP 比)
  19. 37ページ
    図表4-9 マクロ経済想定の影響
  20. 38ページ
    付表1 経済成長率等の想定
  21. 39ページ
    付表2 試算ケースの概要
  22. 40ページ
    付表3 生涯純負担(率)、将来・過去別
  23. 42ページ
    付表4 基礎的財政収支、財政収支および純債務残高
  24. 付録 本文で用いたモデルのデータベースおよびモデル資料等
    1. (ESRI Discussion Paper Series No.246, No.247共通)
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)