ESRI Discussion Paper Series No.256
公務員人件費のシミュレーション分析

2010年12月
  • 増島 稔(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)

要旨

公務員の採用行動と給与プロファイルに一定の仮定を置き、2008年度を基準年(※)として公務員人件費(実質値)の推移を試算した。その結果、初期時点の職員の年齢構成が今後の公務員人件費の推移に大きな影響を与えることが明らかになった。

職員数が一定でも、職員の年齢構成が高齢化している地方公務員の給与総額は、年齢構成が若返ることによって今後10年間で7%程度減少する。特に、都道府県の技能労務職や市区町村の教育職の減少率が大きく、逆に警察職の減少率は小さい。国家公務員の給与総額には大きな変化がない。

最近の厳しい職員削減傾向が続く場合、給与総額の減少率は大幅なものとなる。ただし、国よりは地方の方が、また地方の中では市区町村の方が減少率は大きい。職種別にはその他一般職、都道府県の技能労務職の減少率が大きく、警察職は逆に増加する。

今後は人口が減少することから、職員数を人口比で一定に保った場合、職員数は今後10年間で2.5%減少し、給与総額も職員数一定の場合に比べてさらに2%程度減少する。

地方公務員の退職金は、団塊世代の退職がピークを越えたため、今後は大幅に減少していく。ただし、職種間や都道府県間のばらつきは大きい。

都道府県間では、初期時点の職員の高齢化の度合いが異なるため、今後10年間の給与総額の減少率に大きな差が生じる。これに加えて、都道府県間の採用抑制努力や人口動態の違いが、給与総額の増減率のばらつきを拡大する。また、都道府県ごとの退職金総額の増減率にも初期時点の職員の年齢構成の違いが大きな影響を与える。

賃金カーブのフラット化は、初期時点の職員の年齢構成が高齢化している場合や今後高齢化が進む場合に大きな人件費削減効果を持つ。

公務員人件費改革に当たっては、個別の地域や分野の行政需要、公務員の職員構成や給与プロファイルの現状などを十分に考慮しつつ、定量的な分析に基づいて改革を進めていく必要がある。


※本試算は、2008年までの退職行動を前提とした機械的な試算であり、例えば国家公務員の再就職規制の導入や今後の定年延長の可能性の影響などは反映していない。また、平成23年度の国家公務員の新規採用抑制はこれまでの採用抑制を上回る内容となっている。

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  2. 1ページ
    要旨
  3. 3ページ
    1 はじめに
  4. 4ページ
    2 モデル
    1. 4ページ
      (1) 職員数
    2. 4ページ
      (2) 給与総額
    3. 5ページ
      (3) 退職金総額
    4. 5ページ
      (4) 人件費総額
  5. 6ページ
    3 データ
    1. 6ページ
      (1) 国家公務員人件費に関するデータおよび想定
    2. 8ページ
      (2) 地方公務員人件費に関するデータおよび想定
      1. 8ページ
        イ) 職員数、給与
      2. 12ページ
        ロ) 退職者数、退職手当
      3. 15ページ
        ハ) 採用者の年齢構成
  6. 16ページ
    1. 16ページ
      (1) 採用行動の違いが公務員人件費に与える影響
      1. 16ページ
        イ) シナリオ
      2. 16ページ
        ロ) 給与総額
      3. 22ページ
        ハ) 地方公務員の退職金総額
      4. 23ページ
        ニ) 地方公務員の人件費総額
      5. 24ページ
        ホ) 都道府県別の人件費
    2. 32ページ
      (2) 給料のフラット化が地方公務員人件費に与える影響
  7. 34ページ
    5 まとめ
  8. 36ページ
    【参考文献】
  9. 37ページ
  10. 38ページ
    参考図表2 国家公務員
  11. 39ページ
    参考図表3 地方公務員・都道府県計(職員数一定ケース)
  12. 40ページ
    参考図表4 地方公務員・都道府県計(採用行動継続ケース)
  13. 41ページ
    参考図表5 地方公務員・都道府県計(人口比維持ケース)
  14. 42ページ
    参考図表6 地方公務員・全市区町村(職員数一定ケース)
  15. 43ページ
    参考図表7 地方公務員・全市区町村(採用行動継続ケース)
  16. 44ページ
    参考図表8 地方公務員・全市区町村(人口比維持ケース)
  17. 45ページ
    参考図表9 都道府県別の給与総額(2018年度、2008年度比)
  18. 46ページ
    参考図表10 都道府県別の退職金総額(2018年度、2008年度比)
  19. 47ページ
    参考図表11 都道府県別の人件費総額(2018年度、2008年度比)
  20. 48ページ
    参考図表12 都道府県別(2008年度比)
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