ESRI Discussion Paper Series No.265
非関税障壁・関税障壁自由化に関する欧州の見方

2011年4月
  • ジョセフ・フランコイス(ヨハネス・ケプラー・大学教授兼ロンドン経済政策研究センター研究員)
  • ミリアム・マンチン(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)
  • ハンナ・ノールバーグ(スウェーデン・ルンド大学)

要旨

EU加盟国は、張りめぐらされたPTA(特恵貿易協定)のもと貿易を行っており、PTAの中核をなしているのはEU自身である。より最近では、EUは遥か遠くの中米、東南アジア、東アジア、北米の国々とも交渉を進めつつある。最近の一連の特恵協定に関して言えば、その目的や対象は関税だけにとどまっていない。EUが言明した目標は、投資アクセスの改善、関税の引き下げ、規制に関する貿易コストの縮小、政策に関する不確実性の削減である。言い換えれば、関税はパッケージの一部であり、EUの関心事としては、(サービスの市場アクセスに影響を与える)投資規制、貿易の規制障壁、そしてEU内の企業に影響を及ぼすことから、政策動向の確実性(政策安定性)へのコミットメントなどもあげられる。

これらの協定の在り方、とりわけEUがより多くの協定について交渉するために多面的な努力を惜しまないのは、これらの協定が締結された際に及ぼすインパクトがEU全体にとって共有の関心ごとであるということを意味している。

特に、G20メンバーのなかでも中所得および高所得のさまざまな国々との最近の協定や今後あり得る協定を組合わせた場合、これらの協定が一括して実施されたときの効果は、これら協定が個別に実施された場合とは異なってくるであろう。

本稿では、一連の新たなPTAの効果に関して、個別実施のケースと一括実施のケースとを比較検討している。分析では、世界経済の応用一般均衡モデルを用いている。一括実施の効果は、個別実施での効果すべてを合わせたものよりも、はるかに大きなものとなる。このことは、誘発された投資の効果から導き出される。投資による効果は、第3国にとっての実質的な利益へとつながっていく。

NTM(非関税措置)と関税を比較することにより、貿易に対する規制や行政的障壁がいかに潜在的に重要であるかかが浮かび上がってくる。概して言えば、非関税措置(NTM)を削減することによる影響は、関税の引き下げよりもはるかに大きいと推定される。このことから、最近の協定では『関税』から『より深い統合形態』へと重点が移されていることの説明がつく。そのようにすれば、ヨーロッパ各国の輸出業者に対する非関税措置の効果への対応がなされる可能性が高いからである

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全文の構成

  1. 1ページ
    Abstract
  2. 2ページ
    1.Introduction
  3. 3ページ
    2.The Policy Landscape
  4. 10ページ
    3.The Model and Experiments
  5. 13ページ
    4.Estimated Impact of Agreements
  6. 19ページ
    5.Summary
  7. 21ページ
    References
  8. 23ページ
    Annex Tables
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