ESRI Discussion Paper Series No.276
防災対策と世代間公平~持続可能な防災・減災政策のあり方に関するアンケート調査~

2011年9月
  • 永松 伸吾(関西大学社会安全学部 准教授)
  • 佐藤 主光(一橋大学大学院経済学研究科 教授)
  • 宮崎 毅(明海大学経済学部 講師)

要旨

低頻度高被害型の災害リスクへの対処が、今日の我が国の防災・減災政策の主要な課題の一つである。本稿では、持続可能性をキーワードにした新しい防災・減災政策の方法論を示すため、巨大災害対策の世代間公平の観点からのアンケート調査を実施し分析を行った。

ここでの主要な質問項目は次の通りである。第一に、大規模地震対策、大規模水害対策のそれぞれについて、どの程度の期間でそれを完成させるべきかについて質問した。第二に、それらの対策の費用負担は現在世代と将来世代のどちらが行うべきかについて質問した。第三に、過疎地の防災対策について、どの程度国による支援を実施すべきかについて質問した。第四に、土地の利用規制方策について質問した。第五に、防災対策における政府の関与の程度について質問した。これらを被説明変数として、個人の属性や、また将来の日本や地球環境、災害リスク、科学技術の進展などに関する楽観性を表す因子を説明変数に加え、回帰分析や順序ロジット分析、多項ロジット分析を実施した。

これらから得られた主要な結論は次の通りである。まず、性別、年収、子ども・孫の有無でかなりはっきりとした政策選好の違いが見られることである。女性についてはリスク回避的であるが、将来世代への負担転嫁を望んでいる。また世帯年収が上がれば上がるほど、防災対策を長期に分散させ、将来世代の負担とすることを選好する。子ども・孫が存在することは、女性と同様にリスク回避的であるが、将来世代の負担転嫁を望まない傾向がある。なお、将来への楽観度については、様々な政策選好に影響を及ぼしている。将来の日本の状況や巨大災害リスクへの楽観度は防災対策の完了期間をより長期で実施することをのぞみ、そのための負担は将来世代にわたって負担することを望む。これは、将来状況を悲観的に捉える人ほど、そのための対策と負担を前倒しすることを選好することを意味している。

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全文の構成

  1. 要旨
  2. 3ページ
    1. はじめに
  3. 5ページ
    2. 先行調査
    1. 5ページ
      2.1. 内閣府「国土の将来像に関する世論調査」2001年
    2. 5ページ
      2.2. 内閣府「社会資本の整備に関する世論調査」2004年度
    3. 6ページ
      2.3. 「日本21世紀ビジョンに関する特別世論調査」(内閣府、2004年度)
    4. 6ページ
      2.4. 水害・土砂災害に関する世論調査(内閣府、2005年度)
    5. 6ページ
      2.5. そのほかの調査
  4. 7ページ
    3. 調査課題とアンケート質問票の設計
  5. 8ページ
    4. 社会の持続可能性と災害リスクに関する認識
    1. 8ページ
      4.1. 将来の楽観度に関する因子分析
    2. 9ページ
      4.2. 因子得点と個人の属性の関係
  6. 12ページ
    5. 実証分析(佐藤担当)
    1. 12ページ
      5.1. 防災投資と費用負担
    2. 19ページ
      5.2. 地域再編成・土地の利用規制
  7. 25ページ
    6. 災害対策の自助努力に関する個人の選好(宮崎担当)
    1. 25ページ
      6.1. 分析方法
    2. 27ページ
      6.2. 推計結果
  8. 29ページ
    7. おわりに
  9. 31ページ
    謝辞
  10. 31ページ
    参考文献
  11. 31ページ
    参考資料
  12. 33ページ
    巻末資料
    1. 33ページ
      調査票と単純集計結果
    2. 34ページ
      調査票
    3. 38ページ
      単純集計結果
    4. 48ページ
      グラフ
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