ESRI Discussion Paper Series No.286
統計からみた震災からの復興

2012年4月
  • 樋口 美雄(慶應義塾大学教授)
  • 乾 友彦(日本大学教授、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
  • 杉山 茂(内閣府統計委員会担当室参事官)
  • 若林 光次(内閣府統計委員会担当室参事官)
  • 空閑 信憲(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
  • 細井 俊明(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
  • 池本 賢悟(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
  • 高部 勲(内閣府経済社会総合研究所特別研究員)
  • 植松 良和(総務省統計局統計調査部経済統計課課長補佐)
  • 有光 建依(内閣府統計委員会担当室主査)

要旨

本稿では、東日本大震災発災後おおむね1年を経過した時点において入手可能な情報を元に、既存研究を用いた大規模自然災害による直接被害の国際比較、阪神・淡路大震災と東日本大震災の直接被害推計の比較、東日本大震災発災後の公的統計に関する政府の対応を整理した後、間接被害に関して公的統計を使用して、様々な角度から定量的に被害と復興の過程を分析した。主な分析結果は次のとおりである。

人口・雇用面をみると、被災地では震災以降若年層の流出により更なる高齢化が進み、若年層の新規雇用創出が重要であるが、「医療・福祉」産業にその可能性がある。また、被災地では震災復旧関連等の求人の増加は見られるものの、雇用のミスマッチも生じており、地域特性を生かした雇用回復が重要である。供給側ショックをみると、製造業は震災の直接の被害からは脱しつつあるが、その後の回復では海外需要に不安がある。農漁業については、被害者の実人数が約4万7千人と試算でき、津波被災地域での営農再開農家は、岩手県で1割、宮城県で2割であるなど、復旧に時間を要している。需要側ショックをみると、全国的には震災後の消費自粛の解消等が徐々に進む一方、被災地では生活再建のため消費がある程度まで回復したが、地域により消費生活の基盤ともなる住宅建設の遅れ等が見られる。また、サービス業では観光関連の回復が遅れているほか、原発事故に伴う風評被害の影響が主要な福島県産青果物の価格形成において確認され、食品中の放射性物質の安全性に関する信頼性の高い情報提供が必要である。

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  2. 要旨
  3. 1ページ
    第1章 はじめに
    1. 1ページ
      第1節 自然災害が経済・社会に与える影響に関する既存研究
    2. 1ページ
      第2節 大規模自然災害による直接被害の国際比較
    3. 4ページ
      第3節 阪神・淡路大震災と東日本大震災の直接被害推計の比較
    4. 7ページ
      第4節 東日本大震災の被災地の状況を踏まえた公的統計に関する政府の対応
      1. 13ページ
        1.震災後の統計データの集計、公表等に必要な措置の発表
      2. 13ページ
        2.各府省の講じた特別の措置に関する情報の提供
      3. 13ページ
        3.東日本大震災に係る統計データの提供等に関する統計委員会の審議
      4. 14ページ
        4.統計委員会におけるその後の措置状況のフォローアップ
      5. 17ページ
        5.今後の展望
  4. 18ページ
    第2章 人口、雇用からみた被災地の復興
    1. 18ページ
      第1節 人口、高齢化からみた被災地の特徴
      1. 18ページ
        1.被災地における転出の状況 ~ どの年齢層が転出しているのか~
      2. 21ページ
        2.被災地等からの転出の状況 ~ 転出者はどこに移動したのか~
      3. 22ページ
        3.被災地における若年層の減少と高齢化
    2. 24ページ
      第2節 産業構造からみた被災地の特徴
      1. 24ページ
        1.被災地の産業別の年齢構成
      2. 26ページ
        2.事業所の開設時期から見た産業の状況
      3. 35ページ
        3.雇用のミスマッチ
  5. 37ページ
    1. 37ページ
      第1節 製造業の状況
    2. 40ページ
      第2節 電力の状況
    3. 42ページ
      第3節 被災地における農業経営体、漁業経営体の復興
      1. 42ページ
        1.農林水産における被害の実態を把握するための農林水産省における対応
      2. 42ページ
        2.東北被災3県の被害の実態
      3. 44ページ
        3.被害を受けた実人数
      4. 45ページ
        4.東日本大震災による農業・漁業経営体の被災・経営再開状況
      5. 51ページ
        5.今後の取り組み
    4. 52ページ
      第4節 貿易面からみた震災からの復興
      1. 52ページ
        1.国内生産に制約された輸出
      2. 54ページ
        2.鉱物性燃料を中心に拡大する輸入
      3. 55ページ
        3.東北地域の輸出
  6. 58ページ
    第4章 需要側ショックからみた震災の影響
    1. 58ページ
      第1節 家計消費からみた震災の影響
      1. 58ページ
        1.発災直後の動向
      2. 60ページ
        2.全国的な回復状況
      3. 62ページ
        3.被災地を含む地域の回復状況
    2. 69ページ
      第2節 サービス産業に与えた影響
    3. 73ページ
      第3節 福島県産青果物の風評被害
      1. 74ページ
        1.分析方法
      2. 77ページ
        2.推計結果
      3. 80ページ
        3.おわりに
  7. 82ページ
    第5章 結論
  8. 85ページ
    <参考文献(和書)>
  9. 86ページ
    <参考文献(洋書)>
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