ESRI Discussion Paper Series No.288
R&D補助、国際間の知識スピルオーバー、内生的生産性成長

2012年8月
  • コーリン・デービス(同志社大学国際教育インスティテュート准教授)
  • 橋本 賢一(神戸大学大学院経済学研究科准教授、内閣府経済社会総合研究所客員研究員)

要旨

本稿では規模効果を取り除いた2国内生的成長モデルを構築し、R&D補助による財varietyや経済成長に対しての効果を分析する。特に、生産コストを下げる目的でプロセスイノベーションへの投資を行う独占的競争企業を導入し、国際間で知識・技術のスピルオーバーが不完全な状況を考察する。

本稿のモデルの特徴は、国際間の知的スピルオーバーが不完全のもとでは、相対的に大きい国は、企業のシェアや相対的な生産性が大きくなることが示される。このとき、生産性の高い国への企業の集積は、企業間の知識のフローを拡大させることで、企業レベルのR&D投資を高める。結果として、非対称的な国で構成される経済は、対照的な国で構成される経済よりも経済成長が高くなる。ただし、企業レベルのイノベーション活動の高まりは、コストの上昇をもたらすことから、市場参入を引き下げ、全体の財varietyは減少することになる。

次に、このモデルの枠組みを用いて、R&D補助政策のインプリケーションを導出する。いまR&D補助はその国の産業のシェアや相対的な生産性、相対賃金にプラスの効果をもたらす。このとき、相対的に小さい国がR&D補助政策をおこなうと、全体の財varietyは上昇するものの、生産性の成長は減少することになる。一方で、相対的に大きい国が同様の政策をおこなうと、生成性の成長は上昇させるが、全体の財varietyを減少させる。

最後に、R&D補助政策が各国の経済厚生および世界の経済厚生にどのようなインパクトをもたらすか考察をおこなった。

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全文の構成

  1. 2ページ
    Abstract
  2. 3ページ
    1 Introduction
  3. 7ページ
    2 Basic Model
    1. 4ページ
      2.1 Households
    2. 9ページ
      2.2 Production
    3. 10ページ
      2.3 Process Innovation
    4. 12ページ
      2.4 Government
    5. 12ページ
      2.5 Market Equilibrium
  4. 13ページ
    3 Steady-State Equilibrium
    1. 15ページ
      Lemma 1
    2. 16ページ
      Lemma 2
    3. 17ページ
      Lemma 3
  5. 17ページ
    4 Product Variety and Productivity Growth
    1. 20ページ
      Proposition 1
    2. 21ページ
      Proposition 2
  6. 22ページ
    5 Welfare Analysis
  7. 24ページ
    6 Conclusion
  8. 27ページ
    Appendix: Stability of Symmetric Equilibrium
  9. 30ページ
    References
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