ESRI Discussion Paper Series No.289
ICTの普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響の分析
― 国際的議論の変遷と実態変化のデータ観察 ―

2012年8月
ざき彰彦
(九州大学大学院経済学研究院教授、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)
田原大輔
(九州大学大学院修士課程)

要旨

本稿では、ICT(情報通信技術)の普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響について、国際的な議論がどのように変遷してきたかを跡付けた後、その背後で、どのような実態の動きがあったかを、現時点で利用可能ないくつかの長期統計にもとづいて動的データ観察を行った。その結果、第一に、国連のミレニアム開発目標と連携したUNCTADの取り組みが象徴するように、当初はデジタル・ディバイトなど技術格差がもたらす影の側面に関心が集まったが、2000年代中盤からは貧困の撲滅や雇用の創出など途上国の経済発展に向けた光の側面が注目されるようになったこと、第二に、ICTの普及などに関する世界約200カ国・地域の長期データで動的に俯瞰すると、論調の変化と期を同じくして、携帯電話やインターネットが教育水準や所得水準を問わず世界の隅々にまで急速に普及しデジタル・ディバイドが縮小していることなどが明らかとなった。

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全文の構成

  1. 3ページ
    要旨
  2. 5ページ
    目次
  3. 7ページ
    1. はじめに:目的と背景
  4. 7ページ
    2. ICT の経済効果に関する国際的な議論の変遷
    1. 7ページ
      2.1. 米国経済の再生:ICT で輝く繁栄のオアシス
    2. 8ページ
      2.2. 取り残される途上国:デジタル・ディバイドへの懸念
    3. 10ページ
      2.3. 国際論調の大旋回:格差問題から経済発展へ
  5. 11ページ
    3. データと事例によるICT のグローバルな普及の観察
    1. 11ページ
      3.1. グローバル・データ・セット
    2. 12ページ
      3.2. データの動的な概観
    3. 13ページ
      3.3. 携帯電話のグローバルな普及の事例
  6. 14ページ
    4. モバイル化による経済発展の可能性
    1. 14ページ
      4.1. 識字率と普及率の関係からみた可能性
    2. 15ページ
      4.2. 一人当たりGDP と普及率の関係からみた可能性
    3. 15ページ
      4.3. 携帯電話のグローバルな普及の要因
    4. 16ページ
      4.4. デジタル・ディバイドの縮小
  7. 17ページ
    5. おわりに:課題と展望
  8. 18ページ
    参考文献一覧
  9. 20ページ
    図表一覧
    1. 20ページ
      図表 1 国際的な論調の変遷
    2. 20ページ
      図表 2 ICT と経済発展に関するグローバル・データセット概要
    3. 21ページ
      図表 3 世界の固定電話、携帯電話、インターネットの普及率の推移
    4. 21ページ
      図表 4 地域別携帯電話契約数
    5. 22ページ
      図表 5 固定電話、携帯電話、インターネット普及率と識字率の分布
    6. 24ページ
      図表 6 一人当たりGDP と普及率(固定電話、携帯電話、インターネット)の分布
    7. 26ページ
      図表 7 携帯電話のグローバルな普及の背景
    8. 26ページ
      図表 8 ローレンツ曲線とジニ係数によるデジタルディバイドの変化
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