年金、医療、介護の3分野に関する社会保障モデルを構築した上で、社会保障の長期推計を行い、さらに生年別の受益と負担の構造を検討した。
本研究で構築したモデルは、鈴木(2006)を発展させたものであるが、年金モデルでは、厚生労働省が平成21年財政検証に際して公開した計算手法とデータおよび将来の経済前提を取り込み、医療モデル、介護モデルでは現行制度と最新データを反映させた。各モデルとも政府による推計結果(年金は2105年まで、医療、介護は2025年まで)をほぼ再現している。医療、介護では長期推計を試みており、医療給付費及び介護給付費の対名目GDP比率は、2010年から2100年にかけて、いずれも2倍近くの規模に拡大する。
現役期に保険料を負担し引退後にサービスを受益するという構造は、年金、医療、介護の3制度に共通しているが、受益と負担の関係は世代ごとに異なる。社会保障からの純受益が生涯収入に占める割合として定義される生涯純受給率を生年別にみると、1950年生れ1.0%、1960年生れ▲5.3%、1970年生れ▲7.8%、1980年生れ▲9.8%、1990年生れ▲11.5%、2000年生れ▲12.4%、2010年生れ▲13.0%と生年が下るにつれて支払い超過の傾向にある。このように、社会保障を通じた世代間不均衡は無視できない大きさとなっている。
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|---|---|
| 要約 | |
| 1. はじめに | 3 |
| 2. モデルの概要 | 3 |
| 2.1 年金モデル | 3 |
| (1) 年金モデルの全体構造 | 3 |
| (2) 被保険者数の推計 | 4 |
| (3) 基礎率・基礎数の設定 | 4 |
| (4) 支払保険料、年金給付費の推計 | 5 |
| (5) 年金財政の収支計算 | 7 |
| 2.2 医療モデル | 8 |
| (1) 医療モデルの全体構造 | 8 |
| (2) 医療モデルが使用するデータ | 9 |
| (3) 被保険者数・被扶養者数の推計 | 9 |
| (4) 医療給付費の推計 | 10 |
| (5) 医療保険料収入の推計 | 10 |
| (6) 医療保険制度別の収支推計 | 10 |
| (7) 世代別の受益と負担の推計 | 10 |
| 2.3 介護モデル | 11 |
| (1) 介護モデルの全体構造 | 11 |
| (2) 介護モデルが使用するデータ | 11 |
| (3) 施設入所者数の推計 | 12 |
| (4) 在宅受給者数の推計 | 12 |
| (5) 1人当たり介護給付費の推計 | 12 |
| (6) 財政収支および保険料の推計 | 12 |
| (7) 世代別の受益と負担の推計 | 12 |
| 2.4 年金・医療・介護の長期推計結果 | 13 |
| 3. 現在の受益と負担の年齢別分布 | 14 |
| 3.1 年金 | 14 |
| 3.2 医療 | 14 |
| 3.3 介護 | 15 |
| 4. 受益と負担の世代間格差 | 16 |
| 4.1 年金 | 16 |
| (1) 過去の保険料支払額の推計 | 16 |
| (2) 公的年金全体でみた世代間格差 | 16 |
| (3) 男女別の純受益 | 17 |
| (4) 年金制度別の純受益 | 17 |
| (5) 生涯保険料率と生涯受給率 | 17 |
| 4.2 医療 | 18 |
| (1) 生年別の受益と負担 | 18 |
| (2) 生涯負担率と生涯受給率 | 19 |
| (3) 自己負担割合の引上げと国民健康保険への国庫負担増加の影響 | 19 |
| 4.3 介護 | 21 |
| (1) 生年別の受益と負担 | 21 |
| (2) 生涯負担率と生涯受給率 | 21 |
| (3) 介護保険料の負担年齢引下げの影響 | 22 |
| 5. まとめ | 23 |
| 【参考文献】 | 24 |
| 図2.1 年金モデルの全体構造 | 25 |
| 表2.2 経済前提 | 25 |
| 図2.3 医療モデルの全体構造 | 26 |
| 図2.4 介護モデルの全体構造 | 27 |
| 表2.5 年金財政見通し | 28 |
| 表2.6 医療および介護の給付費見通し | 29 |
| 図3.1 公的年金における受益と負担の年齢別分布(2007 年時点) | 30 |
| 図3.2 医療における受益と負担の年齢別分布(2008 年時点) | 31 |
| 図3.3 介護保険における受益と負担の年齢別分布(2010 年時点) | 32 |
| 図4.1 生年別の1 人当たり受益と負担(公的年金計、男女計) | 32 |
| 図4.2 生年別・男女別の1 人当たり純受益(公的年金計) | 33 |
| 図4.3 1人当たり純受益(年金制度別の寄与度(男女計)) | 33 |
| 図4.4 年金の生涯純受給率(厚生年金、男女計) | 34 |
| 図4.5 医療にかかる生年別1 人当たりの受益と負担 | 35 |
| 図4.6 医療における生涯純受給率 | 36 |
| 図4.7 医療における自己負担割合引上げと国民健康保険への国庫負担増加の影響 | 37 |
| 図4.8 介護における生年別1 人当たりの受益と負担 | 39 |
| 図4.9 介護における生涯純受給率 | 40 |
| 図4.10 介護保険料の負担年齢引下げの影響(生涯負担率) | 41 |
| 図5.1 年金・医療・介護全体における生涯純受給率 | 42 |
| 参考図表 年金(生年別・年齢階級別にみた受益と負担) | 43 |
| 参考図表 医療(生年別・年齢階級別にみた受益と負担) | 48 |
| 参考図表 介護(生年別・年齢階級別にみた受益と負担) | 51 |