デフレが年金の世代間の受益・負担に与える影響について定量的に分析した。
現行のマクロ経済スライド制度はデフレ時には発効しないので、デフレが生じると受給水準が抑制されず、世代間の受益と負担の格差は拡大する。平成21年財政検証では、2038年度のマクロ経済スライド終了後に受給開始となる1973年生まれ以降の世代の最終的な所得代替率は50.1%と推計されている。しかし、2018年度までデフレが継続すると、マクロ経済スライドが2064年度まで延長され、1980年生まれ以降の世代の所得代替率は50.0%を切り、1999年生まれ以降の世代の最終的な所得代替率は45.1%まで低下するとみられる。
ただし、マクロ経済スライドの適用基準を変更して、デフレ下であっても、マクロ経済スライド調整が行われるように設定すれば、世代間の格差を縮小することができる。その場合には、マクロ経済スライドの適用は2028年度で終了するため、1963年生まれ以降の世代の最終的な所得代替率は51.9%となる。
年金制度における世代間の受益と負担の格差を拡大させないためには、①現時点の受給世代の年金水準を早期に抑制し、②年金財政の収支を早めに改善させることによりマクロ経済スライド調整期間を短くする必要がある。デフレとの関係では、③デフレから早期に脱却すること、が最も重要であるが、デフレの長期化に備えて、④デフレが生じてもマクロ経済スライドが発動するように制度を変更すること、も必要となろう。
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|---|---|
| 要約 | |
| 1. はじめに | 3 |
| 2. デフレの公的年金制度への影響 | 3 |
| 3. モデルの概要 | 6 |
| 4. シミュレーション | 6 |
| 4.1 経済前提の設定 | 7 |
| 4.2 シミュレーション結果 | 7 |
| (1) デフレの影響 | 7 |
| (2) マクロ経済スライドの適用基準変更の影響 | 8 |
| (3) 運用利回り低下の影響 | 9 |
| 5. まとめ | 10 |
| 【参考文献】 | 11 |
| 図3.1 年金モデルの全体構造 | 12 |
| 表4.1 シミュレーションのケース設定 | 13 |
| 表4.2 経済前提 | 13 |
| 図4.3 厚生年金財政収支の推移 | 14 |
| 図4.4 厚生年金積立金の推移 | 14 |
| 表4.5 所得代替率とマクロ経済スライド適用期間の終了年度 | 15 |
| 図4.6 所得代替率の推移 | 15 |
| 図4.7 生年別の生涯純受益 | 16 |
| 図4.8 厚生年金財政収支の推移(低金利ケース) | 17 |
| 図4.9 厚生年金積立金の推移(低金利ケース) | 17 |
| 表4.10 所得代替率とマクロ経済スライド適用期間の終了年度 | 18 |
| 図4.11 所得代替率の推移 | 18 |
| 図4.12 生年別の生涯純受益 | 19 |
| 付表1 給付水準調整期間中の賃金・物価による改定率 | 20 |
| 付表2 年金財政 | 21 |
| 付表3 世代別の受益と負担 | 26 |