ESRI Discussion Paper Series No.298
予期された所得変化に消費は反応するか?-公的年金の支給開始を事例とする分析-

2013年6月
  • 濱秋 純哉一橋大学大学院経済学研究科講師、内閣府経済社会総合研究所客員研究員

要旨

本稿では,公的年金の支給開始による世帯所得の増加に消費が反応しているかを分析する。公的年金の支給開始のタイミングは年金の受給者に正確に予想されていると考えられるため,世帯が恒常所得仮説に従って行動するなら,年金の支給開始による所得変化に消費は反応しないはずである。分析には『農業経営統計調査』の個票を用いるが,年次パネルデータという性質を活かすことで,年金支給開始時点及びその後の消費の動きを分析できる。分析の結果,消費は年金の支給開始時に一時的に増加するが,その後は元の消費水準へと回帰していくことが分かった。消費の一時的な増加は,可処分所得に占める年金給付額の割合が小さい世帯で主に見られる。この結果は,たとえ所得の変化が予期されていても,その変化の影響が小さい世帯では消費を平準化する費用がその便益を上回るために所得の変化分を消費に回すという限定合理性(bounded rationality)の議論と整合的と考えられる。

本文のダウンロード

予期された所得変化に消費は反応するか?-公的年金の支給開始を事例とする分析-別ウィンドウで開きます。(PDF形式 512 KB)

全文の構成

  1. 1ページ
    要約
  2. 3ページ
    I. はじめに
  3. 5ページ
    II. 『農業経営統計調査』の概要
  4. 6ページ
    III. 実証モデル
  5. 8ページ
    IV. 推定結果
    1. 8ページ
      IV-1. 基本モデルの推定結果
    2. 10ページ
      IV-2. 年金支給開始時の一時的な消費増加の解釈
      1. 10ページ
        IV-2-1. 限定合理性
      2. 11ページ
        IV-2-2. 流動性制約
  6. 12ページ
    V. 結語
  7. 13ページ
    参考文献
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)