ESRI Discussion Paper Series No.300
我が国家計のインフレ期待形成における異質性とバイアス

2013年7月
  • 上野 有子内閣府経済社会総合研究所景気統計部
  • 難波 了一内閣府経済社会総合研究所景気統計部

要旨

本稿の目的は、消費者のインフレ期待がどのようなメカニズムで形成されているのかに関する手掛かりを、期待インフレ率の予測誤差のマイクロデータを用いて検証することにある。我が国では、名目利子率がゼロ近傍にある環境の下、消費者や企業のインフレ期待に働きかけ、それにプラスの影響を及ぼすことを意図した政策への関心が高まっているが、そもそもこうした政策の有効性は経済主体の期待形成メカニズムに影響される。具体的に、期待形成が合理的であるのか適応的であるのか、同質であるのか異質であるのかは、有効性を左右する重要な要素と考えられる。そこで、本稿では、内閣府「消費動向調査」の個票データを用いて、我が国消費者のインフレ期待形成について詳細な検討を行った。データからは、インフレ期待には安定的に上方バイアスが見られること、各時点でばらついて分布していることが観察される。分析はこうした特徴を前提として進めた。本稿の分析の結果、非対称損失関数モデルがデータに見られるバイアスをある程度説明できること、他方で、合理的期待からの乖離が確認できることが明らかになった。さらに、インフレ期待のばらつきについて検証を進めていく中で、消費者のインフレ期待形成は世帯属性に応じて異なる上、属性では説明しきれない異質性も見られることが確認された。世帯属性別にインフレ期待の特徴を見ると、期待の水準と年齢の関係が調査時期を問わず安定的に逆U字型を示していることが明らかになる。

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全文の構成

  1. 01ページ
    要旨
  2. 03ページ
    目次
  3. 04ページ
    1 はじめに
  4. 07ページ
    2 データ
  5. 18ページ
    3 非対称損失関数モデル
  6. 23ページ
    4 消費者属性とインフレ期待の関係
  7. 34ページ
    5 結論
  8. 36ページ
    参考文献
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