ESRI Discussion Paper No.330
東日本大震災と生産回復のダイナミクス

2016年3月
友彦
学習院大学教授、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官
枝村一磨
科学技術・学術政策研究所研究員
一宮央樹
東京工業大学大学院修士課程

要旨

本稿では、事業所の地理情報を考慮し、2011年3月に発生した東日本大震災が被災地域だけでなく非被災地域に立地する事業所の生産額のダイナミクスに与える影響について、経済産業省による「生産動態統計調査」及び「企業活動基本調査」の個票データを用いて分析を行う。事業所の生産の減退を生存、回復をハザードとみなしたハザード分析の結果、事業所やその本社が被災地に立地しているか否かは、事業所の生産に影響を与えないことが確認された。事業所と震源地との距離については、震源から遠い場所に立地する事業所ほど回復が早い傾向があるものの、本社の特徴をコントロールするとそのような影響は観測されなかった。また、本社の研究開発集約度が高く、本社従業員数が多く、流動資産比率が高い企業の事業所は回復が早いことが観測された。さらに、宮城県や東京都に立地している事業所の方が、他の県に立地している事業所よりも、生産の回復が早いことも観察された。これらの結果は、自然災害が発生した際に、本社の生産体制がしっかりしており、産業集積が進んでいる地域に立地している事業所ほど、生産の回復が速やかに行われることを示唆している。

全文ダウンロード

東日本大震災と生産回復のダイナミクス別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1.54 MB)

全文の構成

  1. 1ページ
    1. はじめに
    1. 2ページ
      図1 実質GDP(2005年基準、93SNA、連鎖方式)成長率の推移 (2010年第1四半期~2012年第4四半期)
  2. 3ページ
    2. 先行研究
  3. 4ページ
    3. データ
    1. 5ページ
      3.1. 生産動態統計調査
    2. 5ページ
      3.2. 企業活動基本調査
    3. 5ページ
      3.3. 災害救助法適用地域
      1. 6ページ
        表 1 災害救助法適用地域(東京都を除く)
    4. 6ページ
      3.4. データの特徴
      1. 7ページ
        図2. 地域別生産額平均の推移
      2. 8ページ
        図3. 地域別生産額変動の推移
      3. 9ページ
        図4. 地域別自動車産業における生産額変動の推移
      4. 10ページ
        図5. 地域別半導体素子製造業における生産額変動の推移
      5. 11ページ
        図6. 地域別集積回路製造業における生産額変動の推移
  4. 11ページ
    4. モデルと推計結果
    1. 11ページ
      4.1. モデル
      1. 13ページ
        表2 生産動態統計調査データセット記述統計量
      2. 13ページ
        表3 生産動態統計調査と企業活動基本調査をマージさせたデータセット記述統計量
    2. 13ページ
      4.2. 推定結果
      1. 14ページ
        表4 生産動態統計調査を用いたコックス比例ハザードモデルによる推定結果
      2. 15ページ
        表5 生産動態統計調査を用いて、生存関数にWeibullを仮定したモデルによる推定結果
      3. 16ページ
        表6 生産動態統計調査を用いて、生存関数に被災地と産業ダミー、事業所規模ダミーとの交差項を含めたモデルによる推定結果
      4. 17ページ
        表7 生産動態統計調査を用いて、事業所が津波浸水地域に立地しているか否かを考慮したモデルによる推定結果
      5. 19ページ
        図7 主要都府県の回復ハザード曲線(生産動態統計調査のみ)
      6. 20ページ
        表8 生産動態統計調査と企業活動基本調査を用いたコックス比例ハザードモデルによる推定結果
      7. 21ページ
        表9 生産動態統計調査と企業活動基本調査を用いて、生存関数にWeibullを仮定したモデルによる推定結果
      8. 22ページ
        表10 生産動態統計調査と企業活動基本調査を用いて、生存関数に被災地と産業ダミー、事業所規模ダミーとの交差項を含めたモデルによる推定結果
      9. 23ページ
        表11生産動態統計調査と企業活動基本調査を用いて、事業所が津波浸水地域に立地しているか否かを考慮したモデルによる推定結果
      10. 25ページ
        図8 主要都府県の回復ハザード曲線(生産動態統計調査と企業活動基本調査をマッチさせたデータ)
  5. 25ページ
    5. まとめ
  6. 27ページ
    参考文献
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)