ESRI−経済政策フォ−ラム:日本21世紀ビジョンシリーズ
「2030年の国と地方」(概要)
経済社会総合研究所
平成17年5月
本フォーラムの概要について、事務局の責任により以下の通りとりまとめましたので、ご参照ください。また、議論の詳細については議事録をご参照いただければ幸いです。
| (開催日時) |
平成17年3月30日(水)14:00〜16:30 |
| (パネリスト) |
西尾 勝 |
国際基督教大学大学院教授(第27次地方制度調査会副会長) |
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古川 康 |
佐賀県知事 |
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森 貞述 |
愛知県高浜市長 |
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藻谷 浩介 |
日本政策投資銀行地域企画部参事役
[日本21世紀ビジョン生活・地域ワーキング・グループ委員]
NPO法人地域経営支援ネットワーク理事 |
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土居 丈朗 |
慶應義塾大学経済学部助教授 内閣府経済社会総合研究所客員研究員
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| (モデレーター) |
杉田 伸樹 |
内閣府経済社会総合研究所総務部長 |
冒頭、西尾 勝氏より基調講演をいただき、その後パネルディスカッションを行った。最後に会場参加者の方々との質疑応答があった。
基調講演「2030年の国と地方のあり方」(西尾勝氏)
- 市町村合併は西高東低になっている。合併の第2幕が必要である。地方交付税の総額は縮小せざるをえず、財政状況から合併せざるをえない市町村が出てくる。それで落ち着いた市町村数でよい。
- しかし、小さな町村が残り、それをどうしていくかが課題になる(たとえば、離島や山奥の町村は合併の効果がなく残っていく)。そういう小さな町村には、国が義務付ける仕事を減らし、県等の広域自治体が補完すべきである。
- 政令市や中核市を複数もつ県は義務が空洞化し、そこから、県をどうしていくかの議論が起きる。一挙に道州制は難しいので、県間の広域連携からやっていくのがよい。分権改革を促進するような道州制なら長期的な目標としてよい。道州は広域自治体であるべきだ。
- 道州制は県の合議の上で移行すべきだ。全国一斉でなく、協議の整ったところからでよい。また、地域によって多様な道州の形態を考えるべきだ。
(古川)
- 2030年の社会としてイメージしているのは、足ることを知る社会である。
- 目指すのは美和個。美は景観の美しさ、和は環境を含めた調和、個は個人。
- 2030年は、一つ一つの地域や個人が輝く時代である。
(森)
- 2030年には、高学歴、高スキルの人たちが地域で活躍するような仕掛けを作っておくべきだ。
- 住民力を自治体がもり立てていくことが必要であり、そのための職員力が必要である。
- 地域共同を進めていけば、住民が求めるサービス、そのための税等の対価が自ずとできあがってくる。要求型ではなく、自分たちで地域をつくっていくようになる。
- 小さいことのよさを評価する必要がある。
(藻谷)(資料参照([1]PDF-format 411KB・[2]PDF-format 306KB))
- 人口減少に対応したインフラ整備が地域に応じて必要である。
- 高齢者と女性の活用が必要である。
- 高齢化のスピードは大都市圏で速く、高齢化の水準は地方で高い。
(土居)(資料参照(PDF-format 110KB))
- 地方は、債務累増下では、分権化されても、公共サービスの削減か増税かの選択しかない。
- 住民税の均等割、固定資産税、地方消費税が分権的な自治体にふさわしい。法人税の増税は、国際競争力の点で望ましくない。
- 地方債を交付税で手当する措置は抑制すべきである。
- 地方債の発行条件は、自治体の財政状況に応じて変えて、財政規律を与えるべきである。
- 社会保障の財源に自治体が過度に役割を担っているのを国が引き受けるべきだ。
- 国が施策の財源の一部を出して口を出すというのでなく、国が財源を全額負担し口も出す施策と、地方が財源を担い国は口を出さない施策を分けるべきだ。
(西尾)
- 道州制に変わる際には、国有林の累積赤字の扱い、県警察の扱いが課題になる。
(森)
- 人口減少に対応して、行政サービスの委託等を進め、地域で高齢者や女性の雇用が増えている。
- 福祉は労働集約的だから、地域の雇用が増加し、お金の循環が生じる。
(藻谷)
- 日本は対外収支が大幅黒字であり、その金を地域に循環させることが必要である。
(土居)
- わが国の地方財政では、社会保障分野の役割が他の先進国に比べて大きいのが特徴だが、国と地方の役割分担の再検討として、社会保障では、保険財政全般は国が、給付・サービスの工夫は自治体で行うのが良い。
- 地方交付税制度の抜本的改革が不可欠である。
(古川)
- 実施しているところがルールをつくるべきだ。国民年金保険料の徴収を国に移したら徴収率が下がったのが典型例である。
- 国は国際関係等、国として大事な仕事で頑張ってほしい。
- 国より自治体のほうが住民の監視がある。
- 自治体が赤字地方債を出せないのは、ある意味財政規律にプラスである
。
(西尾)
- 日本では、自治体がしている仕事がどの先進国よりも多い。
- しかし、仕事の仕組の決定権は国にある。財源を国が握っている。この決定権を自治体に移すのが基本である。8兆円規模まで財源を移すべきである。
[質疑応答]
(聴衆A)
(古川)
- 試験研究施設、イベント等で連携してはどうかと思う。
(西尾)
- 国が連携を強制してはいけないが、案を示すことは否定しない。
(聴衆B)
(土居)
- 既存の交付税措置のある地方債についての返済は、今後措置を一切中止することを見返りに、国が責任を負い、今後の借入は地方が責任を負えばよい。
(西尾)
- ナショナル・ミニマムを安易に引き上げるのは地方分権に反する。引き上げたら地方の町村ではできない。
(森)
(藻谷)
- 外国のことでなく、足下の地域のことを考えるべきだ。日本は世界一の資金ストックをもっているから、それをどう使うかが課題だ。重要なのはコミュニティー・ビジネス、特に福祉である。
(土居)