研究会報告書等 No.6
IT関連経済分析の拡充と統計整備に関する研究会報告書

2002年8月
  • [ 研究会委員 ]
  • 廣松 毅(東京大学大学院総合文化研究科教養学部教授)
  • 舟岡 史雄(信州大学経済学部教授)
  • 宮川 努(学習院大学経済学部教授)
  • 室田 泰弘(湘南エコノメトリクス代表取締役)
  • 坪根 直毅(大和総研情報技術センター数理科学研究室次長 兼 情報科学研究室次長)
  • 峰滝 和典(富士通総研経済研究所主任研究員)
  • 石丸 康宏(東京三菱銀行調査室経済調査グループ調査役)
  • [ 事務局 ]
  • 田丸 征克(内閣府経済社会総合研究所 情報研究交流部長(前上席主任研究官))
  • 奥村 直紀(同 経済社会研究調査員、住友生命保険相互会社)

要旨

IT(情報通信技術)は、特に1990年代以降、急速な技術革新と広範な応用を通じて経済社会に大きな影響を与え始めている。そしてITは、21世紀前半における我が国の経済成長の主要な源泉として、また国民生活に新しい豊かさをもたらすものとして期待されている。しかし、米国におけるITバブルの崩壊や我が国における供給過剰ともいうべき現状をみればわかるように、ITが経済に及ぼす影響は単純なものではない。これを経済の発展に生かすためには、IT化の実態とその影響等を正確に把握・分析し、それに基づいて適切な政策を適時に立案、実施していく必要がある。しかし、現実には、統計データの整備が変化のスピードに追いつかず、実態把握と実証分析の制約となっていることが多い。さらに、より根源的な問題として、情報財の特性自体が伝統的な統計の枠組みの有効性を減殺していることがある。個別統計の改善は所管の府省によっても行われているものの、政府全体として、IT化が創り出す新しい状況に対応しうる統計データの整備に取り組むことが急務である。

こうした現状を踏まえて、内閣府経済社会総合研究所において、経済のIT化に関する実態把握と実証分析を拡充していくにはどのような統計データの整備が必要かを明らかにするプロジェクトが企画された。そして、平成13年度から「IT関連経済分析の拡充と統計整備に関する研究会」が開催され、次のような観点から具体的な検討が行われた。

  • a. 我が国におけるIT関連統計データの整備状況はどうか。また、それによって我が国経済のIT化の実態がどの程度把握されるのか。
  • b. 実態把握を十分に行うためには、どのような統計データの整備が必要とされているのか。
  • c. IT化に関連してどのような実証分析上のニーズがあり、そのニーズを満たすためにはどのような統計データの整備が必要とされているのか。
  • d. 以上の議論で必要とされる統計データをどのように整備していくのか。
  • e. 当面の重要な統計ニーズに応え、今後の統計整備の参考とするための試行的な調査としてどのようなものが考えられるか。

本報告書は、その検討結果を要約し、政府がIT関連の統計整備に取り組む際の基本方針を提言としてとりまとめたものである。また、具体的な議論の内容や検討のための基礎資料を読者の参考とするため巻末の附論、参考資料として収録している。この報告書が我が国におけるIT関連経済分析の拡充と統計整備のために役立てば幸いである。

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IT関連経済分析の拡充と統計整備に関する研究会報告書別ウィンドウで開きます。(PDF形式 657 KB)

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  1. 刊行に当たって別ウィンドウで開きます。(PDF形式 179 KB)
  2. はじめに
  3. 1ページ
    本報告書の主要な論点と提言
  4. 5ページ
    第1章.我が国におけるIT化の動向とIT関連統計の整備状況
    1. 5ページ
      1. IT化の流れと最近の動向
    2. 7ページ
      2. IT化の経済への影響
    3. 9ページ
      3. IT関連統計の整備状況
  5. 18ページ
    第2章.新たに整備すべきIT関連統計
    1. 18ページ
      1. 実態把握に必要なIT関連統計
    2. 24ページ
      2. IT化と生産性に関する経済分析に必要なIT関連統計
    3. 27ページ
      3. 新たな経済分析のニーズとそれに応えるためのIT関連統計
  6. 33ページ
    第3章. IT関連統計の整備の方向
    1. 33ページ
      1. IT関連統計の整備に当たって留意すべき点
    2. 36ページ
      2. IT関連統計整備の基本方針
  7. 38ページ
    第4章.試行的調査の設計について
    1. 38ページ
      1. 試行的調査の目的
    2. 39ページ
      2. 調査の内容と方法
    3. 41ページ
      3. 調査結果の集計と利用
      1. 42ページ
        調査票別ウィンドウで開きます。(PDF形式 433 KB)
  8. 53ページ
    1. 53ページ
      1. IT革命とその影響、統計への課題
    2. 55ページ
      2. 日米国際産業連関表を用いたITの実証分析、電子商取引の計測と米国の関連統計、NAICS
    3. 58ページ
      3. ITの定義と分類について
    4. 67ページ
      4. OECDにおけるIT化の実態把握と統計データの整備状況
    5. 76ページ
      5. 米国商務省『ディジタル・エコノミー2000』におけるIT関連の統計データと分析事例
    6. 81ページ
      6. イギリス、オーストラリア、カナダ、デンマーク、韓国におけるICT統計の整備状況
    7. 84ページ
      7. e-Japan重点計画・ベンチマーク集のデータについて
    8. 86ページ
      8. 日本標準産業分類の改訂について
    9. 89ページ
      9. 卸売物価指数における品質調整について
    10. 92ページ
      10. 国際収支表におけるIT化の影響
    11. 93ページ
      11. 既存の統計データによるIT化の実態把握の例
    12. 97ページ
      12. 携帯電話等によるインターネットの利用状況について
    13. 98ページ
      13. ゲームソフトに関する統計データについて
  9. 100ページ
    附論2-IT化の経済分析の事例
    1. 100ページ
      1. 我が国におけるIT関連の経済分析と統計データの概観
    2. 103ページ
      2. 業種別IT投資・労働データの構築によるIT投資の経済効果の分析
    3. 105ページ
      3. KDB(慶應経済観測データベース)とIT関連の経済分析・統計整備について
    4. 107ページ
      4. 資本ストックの計測に関する考え方とIT分析への応用
    5. 110ページ
      5. 情報装備の業種別効率性分析について
    6. 112ページ
      6. IT革新における教育の重要性について-生産性上昇に関する人的資本の重要性-
    7. 113ページ
      7. IT化が生産性に与える影響について
    8. 116ページ
      8. ITと経済分析・経済統計-需要サイドからの新古典派的分析とその経済統計への含意-
    9. 120ページ
      9. 時間の稀少性と関心の独占-ネットワーク上の消費者行動と価格形成に関する分析-
    10. 122ページ
      10. ITによる価値創造について
    11. 123ページ
      11. OECDにおける分析事例
    12. 127ページ
      12. ソフトウェアの開発における外部効果の分析
    13. 128ページ
      13. IT関連産業の集積に関する分析
  10. 130ページ
    参考文献
  11. 参考資料
    1. 1. IT関連統計リスト
    2. 2. 近年におけるIT関連統計の整備状況
  • 〒100-8914
    東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎第8号館
  • 電話 03-5253-2111(代表)