研究会報告書等 No.10
沖縄県における保育サービス供給の実証分析
-沖縄県における保育サービス市場研究会報告書-

2004年4月

報告書の目的・特徴

沖縄県は待機率(待機児童数/保育所定員数)でみて、最も待機児童問題が深刻な都道府県の1つである。また認可外保育所の利用者が約半数に上っていること、出生率や離婚率が高く、潜在的な保育サービス需要が高いことなど、日本全体が近い将来直面するような課題を既に内包している。

本報告書では、これまでにない詳細なミクロデータをもとに、
(1) 投入コスト(人件費など)、成果(年齢別児童数とサービスの質)、投入コストと成果の関係(質を考慮した効率性)の3つの点について包括的な実証分析を行い、
(2) 客観的分析に基づいて保育サービス供給の現状と課題を具体的に明らかにした。

主な結論のポイント

(1) 賃金コストの比較・・・公立は賃金プロファイルが急で保育士の平均年齢も高い

公立保育所の常勤保育士の賃金は単純平均で私立認可よりも4割強高い。非常勤保育士の場合はほとんど違いはない。また、私立認可の常勤保育士の賃金は認可外よりも6-7割、非常勤の場合は4-5割程度高い。

(2) サービスの質の比較・・・私立認可、公立、認可外保育所の順で高い

それぞれの経営主体で得意分野があるものの、全体では、経営主体によるサービスの質の違いが明らかである。

(3) サービスの質の違いを考慮したコスト比較・・・公立は明らかにコスト高

質や児童の年齢を考慮しても公立は非効率的。私立認可と認可外では統計的に有意な違いはない。

(4) 経営主体による保育料負担の格差・・・補助金の差が保育料に反映

認可保育所では運営費に占める保育料の割合は1-2割程度。

制度見直しに向けての提言

(1) 待機児童問題の解消と認可保育所の供給政策の充実

(イ) 公立保育所の効率化の推進

(ロ) 認可保育所の規制緩和徹底による競争条件の整備・新規参入の促進

(2) 認可外保育所を中心とする保育サービスの質の向上

・サービスの質の評価のための評価機関の設置、質向上のための補助金の有効活用

(3) 情報開示・データ整備の必要性

沖縄県における保育サービス市場研究会名簿
氏名 現職
清水谷 諭 一橋大学経済研究所助教授
前内閣府経済社会総合研究所研修企画官
野口 晴子 東洋英和女学院大学国際社会学部助教授・
内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官

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  1. A.本論別ウィンドウで開きます。(PDF形式 370 KB)
  2. 1ページ
    1.はじめに-なぜ沖縄県の保育サービス市場をとりあげるのか-
    1. 1ページ
      (保育サービス需要の増加と待機児童問題)
    2. 1ページ
      (沖縄県における保育サービス市場の3つの特徴)
    3. 3ページ
      (保育サービス市場の経済実証分析の重要性)
    4. 3ページ
      (本報告書のねらいと構成)
  3. 5ページ
    2.沖縄県における保育サービス市場の歴史
    1. 5ページ
      (終戦から児童福祉法制定まで(1945年-1953年))
    2. 6ページ
      (「児童福祉法」の制定(1953年))
    3. 6ページ
      (「児童福祉施設最低基準」の制定(1956年)と児童福祉法改正(1959年))
    4. 7ページ
      (保育所整備の推進(1960年代))
    5. 8ページ
      (復帰特別措置と復帰後の保育対策(1970年代))
    6. 9ページ
      (認可保育所の整備と無認可保育所の増加(1980年代以後))
  4. 10ページ
    3.保育サービス需要の家庭的背景としての出生率・離婚率
    1. 10ページ
      (全国第1位の沖縄県の出生率)
    2. 11ページ
      (全国第1位の沖縄県の離婚率)
  5. 12ページ
    4.実証分析の構成と「沖縄における保育サービス調査」の概要
    1. 12ページ
      (実証分析の構成)
    2. 12ページ
      (「沖縄における保育サービス調査」の概要)
  6. 14ページ
    5.保育サービスの賃金コスト構造
    1. 14ページ
      (保育サービスのコスト構造の図解)
    2. 15ページ
      (公立・私立認可保育所の賃金プロファイル)
    3. 17ページ
      (公立、私立認可保育所の賃金関数の推計)
    4. 19ページ
      (公立、私立認可保育所の賃金関数の推計結果)
    5. 21ページ
      (公立・私立認可保育所の賃金格差の要因分解)
    6. 23ページ
      (私立認可保育所と認可外保育所の間の賃金プレミアム)
    7. 24ページ
      (保育サービス市場における非営利賃金プレミアムの推計)
    8. 26ページ
      (保育サービス市場における非営利賃金プレミアムの推計結果)
    9. 26ページ
      (非営利賃金プレミアムの要因分解)
    10. 27ページ
      (賃金コスト構造の実証結果から判明した事実とインプリケーション)
  7. 29ページ
    6.保育サービスの質の定量的評価
    1. 29ページ
      (保育サービスの質の定量的評価と方法)
    2. 31ページ
      (保育サービスの質の経営主体別定量的比較)
    3. 33ページ
      (保育サービスの質の経営主体別比較の実証結果:まとめ)
  8. 34ページ
    7.サービスの質を考慮したコスト関数の推計
    1. 35ページ
      (保育サービスの供給効率性の評価と方法)
    2. 36ページ
      (サービスの質を考慮したコスト関数の推計)
    3. 37ページ
      (サービスの質を考慮したコスト関数の推計結果)
    4. 38ページ
      (保育サービスの供給効率性の経営主体別比較の実証結果:まとめ)
  9. 39ページ
    8.保育料負担の実態
    1. 39ページ
      (保育コストと保育料負担)
    2. 40ページ
      (運営費に占める保育料の割合)
  10. 41ページ
    9.保育サービス市場の見直しに向けて(まとめ)
    1. 41ページ
      (待機児童問題の解消と認可保育所の供給政策の充実)
    2. 43ページ
      (認可外保育所を中心とする保育サービスの質の向上)
    3. 44ページ
      (情報開示・データ整備の必要性)
  11. 45ページ
    (参考文献)
  12. 図表
  13. B.資料別ウィンドウで開きます。(PDF形式 114 KB)
  14. 保育サービス利用者アンケート調査票
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