研究会報告書等 No.15
コミュニティ機能再生とソーシャル・キャピタルに関する研究調査報告書

平成17年8月

調査の趣旨

現在、我が国における地域コミュニティの多くが、様々な問題に直面している。本調査は、こうしたコミュニティの問題解決にむけた政策手段の一つとして、ソーシャル・キャピタル(以下SC)の視点に注目し、その検討を目的に実施された。本調査は大きく三部から構成される。

第一部「ソーシャル・キャピタルとコミュニティの評価」では、「SC醸成につながる個人の信頼・ネットワーク・社会活動」と「自分たちの暮らしとコミュニティに対する現状認識」について実施した全国アンケート調査の結果についてとりまとめている。

第二部「欧州におけるソーシャル・キャピタル関連政策」では、主にアイルランド・イギリス、OECDにおけるSCに関連する政策事例が調査・報告されている。

第三部「コミュニティ機能再生とソーシャル・キャピタル」は、国内におけるいくつかのコミュニティ再生の成功事例を取り上げ、その取り組みの特性とSCの関連とが分析されている。

調査結果のポイント

(1)第一部

全国アンケート調査からは、(イ)SC醸成につながる個人の信頼・ネットワーク・社会活動(以下SC(個人))の形成が生活上の安心感を醸成し、(ロ)自分の住むコミュニティへの高い評価が、生活上の安心感を高めるということが明らかになった。つまり、政策の最終的な成果が個々人の生活上での安心感の向上であると解釈すれば、SCの形成及びコミュニティへの投資によってその成果向上を図ることが可能であるということである。

また、SC(個人)は、「男性より女性」「無職より有職」「短い居住年数より長い居住年数」「未婚より既婚」「低学歴より高学歴」「低所得より高所得」「借家より持ち家」が多い傾向が見て取れ、団塊世代の大量定年時代(2007年問題)への対応やNEET対策、そして住み続けることのできるまちづくりへの対応がSCの視点でも重要であることがうかがえた。

2002年度内閣府調査の時点と比較してもSC(個人)は減少傾向にあることを付記しておきたい。

(2)第二部

欧州におけるSC関連政策のインタビュー調査からは、つぎのような点が指摘されうる。まずSCが社会にとって重要であるという認識は、各国・各機関共通の認識となっており、ほとんどあらゆる政策・施策にSCという視点を持つことが意識されていることがわかった。さらにSCを増加させるためのマニュアル的対応策(=特効薬)は現時点ではなく、既存のSCを壊さないということが、SCの創出と同じか、それ以上に重要であるという示唆が得られた。またSCの創出にはNPO・企業・地方自治体・市民と、それらの協同を促進するような政策が必要であること、そしてイギリスではSCの測定に対して大規模な予算が編成され、その質的評価を可能にする調査枠組みの作成にも、積極的に取り組んでいることが明らかになった。

(3)第三部

国内の事例調査は、コミュニティ再生につながったと思える成功要因が分析されている。まずコミュニティ再生に成功した地域には、1)危機意識の発露と共有、2)それに対して具体的な活動を起こそうとする人の存在、という共通点があることが見出された。さらにこのような活動全体の特性として、1)Plan→Do→Seeという活動プロセスと、2)様々な主体の参加、が指摘された。すなわち活動がマネジメントされていることが主たる特徴である。そしてコミュニティ再生の成功要因の多くが地域のSCに依存していると考えられ、特に橋渡し的なSCが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

(4)政策的含意

以上の研究を通じて、今後の我が国におけるコミュニティの問題解決につながる各種政策への示唆として、次の諸点を指摘することができるだろう。

(イ)英国の例などから、SCの包括的・継続的な調査の重要性

(ロ)SCの観点からの地域特性の把握

(ハ)SCの観点からの各種政策の評価

(ニ)個性的な街づくりへのSCの活用

なお、本調査の実施にあたっては、ソーシャル・キャピタル論や福祉、コミュニティ問題に造詣の深い有識者による「コミュニティ機能再生とソーシャル・キャピタルに関する研究会」(座長:山内直人 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)を設置。

「コミュニティ機能再生とソーシャル・キャピタルに関する研究会」委員(五十音順)
  鹿毛利枝子 神戸大学大学院法学研究科・法学部助教授
  小宮信夫 立正大学文学部社会学科助教授
  三本松政之 立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ福祉学科教授
  福重元嗣 大阪大学大学院経済研究科助教授
座長 山内直人 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

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(注)本調査は内閣府経済社会総合研究所が株式会社日本総合研究所に委託したものである。

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