賢人会議の概要

議 題:

21世紀の経済社会システム研究プロジェクト
(人口減少化・高齢化経済社会及び循環型経済社会の構築)について

賢人会議記者会見

(主な議論)

wholism

  • 循環型の問題は、全体として捉えるアプローチ (wholisticな考え方)が大事。まさにグランドデザインが必要なテーマ。
  • 高齢化の問題についても、年金、医療、介護、雇用といった各分野ごとに捉えるのでは不十分であり、全体として捉える視点が重要。

市場と政府のベストミックスの在り方、官民の役割分担

  • 循環型にしても高齢化にしても、「市場」の力をどのように使って目標を達成するかということが課題。
  • 資源のない国では、リサイクルと同時に新技術の開発が重要。化石燃料に代わる新エネルギーの開発・新技術の開発には、資金も必要だが長い年月もかかる。このため、民間企業で行うには限界があり、政策誘導が大変大事。
  • 環境保全型企業や製品に対する政策的な支援(税制優遇など)が必要。
  • 政府は法律・規則等で市場の枠組みを構築し、民間の経済主体がその中で活躍していくといった役割分担もある。各経済主体の責任が明確にされれば、市場の力で前進が図られる。
  • 介護も環境も市場に任せるべき。行政は、あくまで方向性を定め、地域や特殊性のため民間で採算が合わないことに役割を限定するべき。行政は、民間によるサービス提供がきちんと実施されているかチェック機能を果たせば良い。
  • 「市場メカニズムを使う」という真意は、金ですべて解決するということではなく、市場メカニズムが個人行動を動機づける仕組みを上手く使おうということ。あるべき方向に人々を向かわせようとする際、人を教育したり価値観に強制を加えるより価格メカニズムを使った方がスマートで、効果的。

グローバルな観点

  • 循環型社会の形成にはグローバルな観点での検討が必要。例えば、循環型については発展途上国をこのテーマの中にどう組み込んでいくかという問題がある。
  • また、高齢化についても各国の貯蓄・投資バランス、経常収支、為替レート等への影響を通じて、重要な国際的インプリケーションを持っている。

人口減少・高齢化の下での経済社会の捉え方

  • 人口減少・高齢化のマクロ経済的影響、すなわち潜在成長率、年金財政、国際収支へのインパクト等について研究の必要。その際、現在、流布している悲観論をブレークスルーするための条件を探ることがポイント。
  • 国際間の労働移動で、どの程度人口減少をカバーしていけるのか議論していくことが重要。
  • 社会保障制度については、(完全な積み立て方式か完全な賦課方式かという)二者択一で考えるのではなく、両者のベストミックスといった選択肢もある。
  • 市場と整合的な社会保障制度のあり方、個人の持っている動機(インセンティブ)を引き出すような社会保障制度の設計が求められる。
  • これまでの日本社会には中央集権的・管理的な側面があったが、これからの日本の課題である高齢者雇用のような問題は、競争的・分権的な制度の下で解決されていくべきもの。

循環型経済社会を捉える力点の置き方

  • リサイクル以前の生産段階での資源のリデュースや、使用後の商品の再利用リユースがもっと議論される必要がある。
  • 処分場が逼迫しており、循環型社会の構築を急がないと、埋立て場は瀕死の状態にあることを忘れて欲しくない。循環型経済社会を実現するためには、まだまだ零細が多い静脈産業について、政府による育成策が必要。

IT社会と高齢化社会の関係

  • 少子・高齢化社会の中では、高齢者勤務の点でITとベンチャー企業の果たす役割はかなり大きい。高齢者の雇用についても、インターネット利用など、柔軟な勤務形態を考えてもらいたい。

エコ・エフィシェンシー

  • 独ブッパタール研究所には「エコ・エフィシェンシーを増加させる」という概念がある。それは、従来のように労働生産性を高めるのではなく、資源生産性を高めることを意味する。課税ベースを労働から、天然資源にシフトすると、エコ・エフィシェンシーの方向に進むことが可能になる。

価値観の変化・重要性、意識改革

  • 日本に元来あった「申し訳ない、もったいない」という価値観を掘り下げることは重要で、日本から発信していくことの出来るテーマ。「もったいない」には、単なる節約だけでなく、生産者への感謝の意味があった。その意識を高める政策、教育が重要になる。
  • 循環型社会に向けて生きていこうとする国民の意識が薄い。官民もそうだが、生活者・消費者がリスク分担をしなければ、循環型社会は成り立たない。
  • 企業の取組みに比較して、国民の意識がまだまだ低い。国民意識を高めるためには、公的部門や企業の啓発・啓蒙活動の役割が大きい。
  • 基本的に人間社会を動かしているのは欲望。意識に頼らず、経済原則に従って動くようなクールなシステムにしないと社会は動かない。科学的に議論のできる客観的な仕組みが必要。

堺屋大臣 締め括り発言 (抄)

賢人会議記者会見

歴史的に、人間が物質文明を追求するときは、環境が破壊され、人口は減少している。私達、近代文明もその過程に入っているのではとの危機感がある。

人間の価値観は美意識によって決まる。使い古しのものがかっこいいという美意識がおこる可能性も考えられる。美意識は価値を決め、価値は価格を決める。価格は市場を動かす。市場メカニズムの中にも美意識という非市場的なものが入りこむ余地がある。政府としてなすべきことは、外部経済の内部化がスムーズかつ合理的に行われる方法を考えること。

文明の崩壊を避けるための、ひとつの方法は、リサイクルとして資源回収の効率性を引き上げる方法を探ること。例えば、裏導線を持つホテルのような構造の都市をつくれば、効率のよい回収が出来るのではないか。今まであまり研究がされてなかった分野なので、効果は期待できるように思われる。

労働生産性を向上させ、非常に効率のいい生き方をしていく。それにより、新しい美意識が生まれ、それに基づいて人口が増加する時代が遠からず来るのでは。近年、米国が人口減から増加に転じたが、それはおそらく米国の経済構造が変化して、物質文明から知価社会に変わってきたことと関係があると思われる。日本も新しいシステム、新しい美意識を形成していけるのでは。研究所のこれから2年の研究で、そういう結論が得られれば幸い。

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